LIVING-BIZ vol.108(3)/特集 寝具寝装モノ作り/nishikawa/昭和西川/山甚物産/ロマンス小杉

2024年07月17日 (水曜日)

〈“快眠+α”の機能性/美容や困りごと解消/nishikawa〉

 nishikawaは、美容睡眠ブランド「ニューミン」や涼感寝具などで、“快眠+α”の機能性を持たせた寝具や雑貨の開発に力を入れている。

 ニューミンでは、美容液成分配合で睡眠中に髪や肌の潤いケアをかなえる枕カバー、パジャマ、タオルなどを展開。コスメティック専用EC(電子商取引)サイトでも好調な売れ行きを見せる。

 涼感寝具「サラフロー」の新商品では夏場のソリューション提案を追求。「速乾『干すらく』敷パッド」は、速乾性を生かし四つ折りにしてハンガー2本で干せる。干す場所の省スペース化で「汗をかく夏場はこまめに洗いたいが干す場所に困る」という悩みを解消する。「爽ブリーズケット」は空気が流れる特殊構造で、エアコンによる寝冷えから守り、冷気をマイルドに通しながら蒸れを軽減する。

 クラウドファンディングでは、1枚4役で四季に合わせて使い分けられる「4シーズン敷きパッド」が好評。袋状にすることで外側の表裏、内側の表裏と4面異なる機能素材を搭載し、実現した。

〈環境配慮にこだわり/「100年羽毛」「50年ムートン」など/昭和西川〉

 昭和西川は、持続可能な社会の実現に向けた寝具の開発・展開に力を入れる。齊藤淨一社長は「われわれがなぜ工場を持つのか。それは、お客さまに良いモノを長く使っていただくことで、限りある資源を有効活用し、ともにSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するため」と話す。

 メンテナンスサービスも充実させ、「100年羽毛」「50年ムートン」「30年真わた」「20年ムアツ」とラインアップを拡大してきた。

 2月には日本ムートンを子会社化。同社は天然素材を生かした製品を強みとし、環境に配慮したモノ作りにこだわる。50年ムートンも共同開発し、国内に広めてきた。今後はそれぞれの強みを融合し、より良い睡眠と健康を提供する商品開発を強化する。

 4月下旬には羽毛リフォーム専用工場を新設した。年間の加工能力は5万枚で、羽毛リフォーム専用工場としては国内最大規模。年々増加する羽毛ふとんのリフォーム需要に対応するとともに、メンテナンスサービス付きで好評の100年羽毛をより一層拡販していく。

〈高反発素材に広がり/エビデンスも重視/山甚物産〉

 山甚物産(大阪市中央区)は、高反発素材を使用した寝具ブランド「プリマレックス」の取り組みを広げている。エビデンス(科学的根拠)を重視した訴求で、ホテルなど業務用途へも浸透を図る。

 プリマレックスは、網状構造体のポリエチレン素材「プリマレックス」を中材に使用する。特殊ポリエチレン樹脂をばね状にし、融着させて仕上げたクッション材で、へたりにくく通気性、透水性、体圧分散に優れる。多層構造で中材の厚みが約15㌢と10㌢のベッドマットも売れ筋となっている。厚みと密度を調整した復元力とスプリング力が全身をバランスよく支える。

 エビデンスを重視した提案も強化。埼玉県立大学の有竹清夏(さやか)教授との共同研究で、プリマレックスのマットレスと、ウレタン使いの低反発マットレスとの睡眠を比較。夜間の睡眠脳波を測定した比較では、プリマレックスの方が睡眠効率が上昇し、中途覚醒時間が有意に減少した。

 販路は一般用途とともに、ホテルなど業務用途への拡販に取り組み、リゾートホテルやビジネスホテルに、プリマレックスのオーバーレイタイプなどが採用されている。介護レンタル向けへの浸透も図る。

〈科学的に眠りの質追求/本社内の研究所生かす/ロマンス小杉〉

 ロマンス小杉は、自社に設ける人間環境・睡眠科学研究所を通して、人が心地良く幸せに感じられる寝具を科学的に追求し、モノ作りに生かす。

 同研究所は古田土賢一研究員(当時)らが2005年に設立。「人が実際に使っている状況をベースに研究すること」を実践し、同社を代表する冷感寝具「アイスミン」などの商品開発をサポートしてきた。

 21年に、無風で機械音がせず明るさもコントロールでき、寝室環境を忠実に再現できる人工気象室「京都スリープサイエンスラボ」を本社ビル内に設けた。東洋紡の総合研究所で繊維製品の快適性研究に一貫して従事した森田貴美子氏(現所長)も同年に加わり、一段と充実した体制となった。

 森田氏は「睡眠や寝心地の研究には生理学や心理学などの知見が欠かせない。素材の知識だけでなく、ヒトの特性を知っておかなければいけない」と強調。「加齢によって皮膚感覚や身体組成は変わっていく。暑さ寒さなどの感覚は鈍くなり、水分と筋肉量が減って体脂肪の割合が増えてくる。こうした体の変化は寝心地に関係し、睡眠の質にも影響する」とし、高齢化社会を見据えた商品作りも支援していく考えを示す。