スタイレム瀧定大阪 三国間貿易に開発力生かす

2024年07月17日 (水曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、インドなどで生産した生地を三国間貿易の枠組みに取り入れる。三国間貿易のニーズは強いが、使える生地の種類が少ないことを危惧する声が多いのも実情で、同社はテキスタイル2部12課のインド・ASEAN地域での開発力を生かし、顧客の要望に応じた生地を供給する。

 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定や日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定などもあって、インド・ASEAN地域を中心とする三国間貿易への注目度は高まっているといわれている。12課は「今期に入って三国間貿易は前年比30%増で推移している」とする。

 インド・ASEAN地域の三国間貿易で懸念されるのが、使用する生地のバリエーション。12課では、インドやタイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアでファッション感度の高い生地を生産してきた実績を持つ。そのノウハウを三国間貿易に組み込むことで、生地の幅広いニーズに対応する。

 インドで生産する生地は、オーガニックコットンを軸とし、長綿の20番手糸を使ったイチ押し。柔らかく、しなやかで洗濯を繰り返すほど、綿の良さが出てくるという。そのほか、1920年代の袋布から着想を得て開発した生地など、物語性のある製品も打ち出す。

 タイでは、スーピマ綿の超高密度織物など、インドでは生産が難しい生地を作る。メーカーと時間をかけて商品開発を行っており、高い技術を持つ綿織物工場でポリエステル・レーヨン混生地なども作った。協力工場で栽培から紡績、染色、製織まで一貫生産したヘンプも展開する。

 ベトナムでは、無水染色素材「ゼロアクア」を提案するほか、生地備蓄販売も始めている。インド、タイ、インドネシア、マレーシアで作った生地を8品番ストックする。「日本からベトナムに生地を少量送っている顧客は多く、備蓄機能の需要はある」とみる。備蓄生地は30品番に増やしたいとしている。

 生地のバリエーションが最も多いのがインドネシアだ。ベーシックな合繊の生地に後加工で味付けを加えた生地や強撚糸を使った生地、特殊な糸加工で柔らかさとメランジ調を表現した生地のほか、刺しゅうやレースにも対応する。マレーシアは、定番のシャツ生地に絞り込んでいる。