シキボウ・原糸販売 別注拡大で試紡開発増

2024年07月17日 (水曜日)

 シキボウの原糸販売は、別注の増加を受け試紡開発を増やしている。年初から活発になっており、試紡案件が前年に比べ1~2割増加している。

特殊紡績法による絶妙な毛羽コントロール糸「ふわポップ」や、連続シルケット糸「フィスコ」など独自性の高い糸を軸に、「糸からこだわって作りたい」という産地の新商品開発に対する意欲をうまく捉える。

 前期(2024年3月期)の原糸販売は、中国や東南アジアの現地サプライヤーが採算度外視で糸の在庫を放出するなどによって厳しい環境が続いた。国内で対応してきた小ロットも海外競合企業で対応する動きも出てくる中、今期は試紡開発の原糸がバルク生産につながるような動きをもっと活性化させ、前期以上の販売量の拡大を目指す。

 ふわポップは、特殊紡績によって糸の360度に起毛し、起毛長を短くすることで毛羽落ちや糸抜けを抑える。生地による起毛と違い、定着力があるほか、膨らみがあり、見掛け以上の太さがあり、風合いの良さが増す。基本的に別注対応となり、10~80番手まで生産が可能。タオルや靴下、インナー、アウターの裏地などさまざまな用途へ提案できる。

 フィスコは、シルクのような艶やかな光沢感に加え、染着性が高いため、洗濯後の色落ちが少なく、生地の奇麗な表面感が長く続くのが特徴。32~130双糸を展開し、糸の備蓄もしている。ニットやテープといった副資材用途への販売が多く、輸出に力を入れる和歌山産地のニッターなどへの供給が増えてきた。

 SDGs(持続可能な開発目標)や環境配慮への意識の高まりにより、サステイナブルな栽培方法でトレーサビリティーも明確な米綿使いの糸の採用が増加。その流れで生分解性ポリエステル「ビオグランデ」や、フェアトレード綿糸「コットン∞」(コットンエイト)でも販売拡大の「兆しが見えている」。

 ベトナムの協力工場で生産した糸を中国やタイに販売するなど三国間でのビジネスも増加。インドネシアの紡織加工拠点メルテックスで生産した綿・ポリエステル糸をベトナムで売るなど、外、外のビジネスの構築も活発にしていく。