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ニッケ 不織布事業一段と強化

2024年07月17日 (水曜日)

 ニッケは、産業機材事業で展開する不織布・フェルト事業を一段と強化する。4月にフィルター関連などを加工・販売する東洋紡カンキョーテクノ(現カンキョーテクノ、大阪市中央区)をM&A(企業の合併・買収)によってグループ会社化した。

不織布製造卸のエフアンドエイノンウーブンズ(FANS、大阪市中央区)と事業で相乗効果を出しながら、自動車・環境関連など工業用資材分野の厚手不織布市場で売上高200億円、「国内で2、3位が狙える地位」(岡本雄博取締役常務執行役員)を射程に入れる。

 2026年11月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画でスクールユニフォーム、不動産開発に続く「第3の安定収益事業の柱として不織布・フェルト事業を拡大する」戦略を描く。

 その一環として昨年12月に連結子会社のアンビック(兵庫県姫路市)とフジコー(同伊丹市)が経営統合し、アンビックが事業継承する形で社名をFANSに変更。4月に東洋紡カンキョーテクノの発行済株式100%を東洋紡エムシーから取得しグループ会社化、不織布市場でさらなるシェア拡大に取り組む。

 カンキョーテクノの売上高は約40億円。第2四半期からグループに入ったことから今期(24年11月期)は売上高で30億円程度の貢献を見込む。営業利益はM&Aによるのれん代の償却で「当面は貢献しない」見通し。

 FANSは売上高約120億円で、今後3年間で150億円を目指している。カンキョーテクノが加わることで、不織布事業で売上高200億円規模も射程に入り、安定収益事業としての確立も見えてくる。FANSは原反の製造、カンキョーテクノは加工であることから、今のところ合併は考えておらず、連携によるシナジーを追求する。

 下半期に向け、M&Aでは「成立に向け2件ほど」想定する。「一番力を入れていきたいのは不織布・フェルト事業であり、カンキョーテクノに次いでもう少し拡大したい」として、M&Aに含みを持たせた。

2Qは減収増益に

 ニッケの第2四半期(23年12月~24年5月)連結決算は、売上高536億円(前年同期比1・7%減)、営業利益46億6800万円(2・2%増)、経常利益50億6200万円(5・2%増)、純利益36億7400万円(10・9%増)だった。人とみらい開発事業の携帯電話販売ショップ撤退などで減収も、生活流通事業のショッピングセンター(SC)集客回復などで増益となった。

 衣料繊維事業は売上高153億円(1・4%増)、営業利益11億9500万円(9・3%減)。ユニフォーム地販売は堅調も、円安や羊毛原料の値上がり、エネルギーコストの上昇に苦戦した。産業機材事業はM&Aの効果などで売上高121億円(3・9%増)、営業利益4億3800万円(6・0%増)。生活流通事業はSCの集客回復、災害用毛布などの販売増で売上高113億円(19・2%増)、営業利益4億2600万円(36・6%増)。

 通期では1110億円(2・2%減)、営業利益110億円(0・1%減)、経常利益116億円(0・3%減)、純利益77億円(0・7%増)を計画する。