繊維ニュース

クローズアップ/東レ スポーツ・衣料資材事業部 部長 中園 真介 氏/価値ある良い商品作る

2024年07月12日 (金曜日)

 今月1日付で東レのスポーツ・衣料資材事業部部長に就いた中園真介氏。スポーツやアウトドア市場を取り巻く環境が変化する中、「顧客との連携を深め、価値のある良い商品を市場に投入していきたい」と語る。中園部長に事業を取り巻く環境や方針、今後の課題を聞いた。

――スポーツ・アウトドア分野の現況は。

 アウトドア分野は良好な状態が続いています。トレッキング系のシューズを普段履きする人が目立つなど、タウンユースが従来よりも増え、裾野が広がっているのではないでしょうか。良好なアウトドア分野と比べると、アスレチック分野は厳しい状況にあると言えるかもしれません。

 そのような状況にあるのですが、インバウンド需要を除くと、日本製の高価格帯商品の動きが少し鈍くなっているような気がしています。スポーツ・衣料資材事業部としては、顧客との連携を強化し、消費者の購買意欲を促すような、価値のある良い商品を作っていきたいと考えています。

――スポーツ・衣料資材事業部の方針は。

 われわれの一番の強みは原糸開発にあります。これらの糸を活用し、産地との取り組みを含めて日本国内で生産した高付加価値生地を展開するのが一番の使命だと考えています。新商品の開発は簡単ではありませんが、最低でも年に一つか二つは発表したいと思っています。12月の事業部展示会で披露すべく準備を進めています。

――2024年4~6月はどのように推移していますか。

 昨年と比べると数量は伸び悩んでいますが、価格の適正化などによって売り上げ、利益ともに当初予算は達成できる見通しです。分野別ではアウトドアが順調な推移を見せています。商品別では、軽量感や保温性、耐摩耗性といった特徴を持つ「カルイシ」が好評を博しました。

 7月以降は、アウトドア分野はこれまで通りナイロンを軸に提案を行います。C0撥水(はっすい)の提案など、環境対応もポイントになります。アスレチック分野は良い商品をいかに訴求するかでしょう。ゴルフ分野は、遮熱性などに優れた「ボディシェルEX」で反転攻勢を図っていきます。

――課題を挙げると。

 大量生産大量販売という従来の考え方から抜け出すことが課題の一つです。数量を追い掛けるのは難しくなっており、繰り返しになりますが、良い商品を作ること、きちんとしたモノ作りに改めて力を入れます。C0撥水やケミカルリサイクル、バイオ由来ナイロンなど、サステイナビリティー対応も重視します。