ごえんぼう

2024年07月12日 (金曜日)

 「夏と言えば」の一つに怖い話がある。テレビでは怪談や恐怖体験の番組が放映され、遊園地ではお化け屋敷がにぎわう▼“夏=怖い話”は、この世に帰ってくる先祖の霊を供養するお盆が由来。お盆には無縁仏や怨霊も帰ってくると考えられ、盆狂言でその苦しみを演じて鎮めていた。それが歌舞伎の怪談の演目につながり、江戸中期には“夏と言えば怪談”と定着。暑さで客入りが悪く、人気役者も不在となった穴を埋める戦略でもあった▼それにしても、なぜ怖い話が人気なのか。脳科学者によると、“怖いもの見たさ”は生きていく上で重要な感情らしい。危害を加えられそうと感じる対象物の実体を明らかにし、対処しようと、脳が働く▼それは好奇心の表れ、未知なるものへの挑戦でもあり、新しい技術の開発や芸術的創造にも通じるという。この夏、しり込みしていたことや新しいことに、思い切って挑戦してはどうだろう。