繊維ニュース

環境配慮型繊維の標準化 ISO提案を先行

2024年07月08日 (月曜日)

 日本化学繊維協会(化繊協会)は日本紡績協会、日本羊毛産業協会と協力し、環境配慮型繊維の標準化を進めている。このうち化繊協会が担当する化学繊維分野は既に日本産業規格(JIS)原案が完成し、政府審議会でJIS発効に向けた審議が始まっていたが、ここに来て海外での標準化の動きが加速していることから、国際標準化機構(ISO)への提案など国際標準化を先行させる。

 現在、繊維業界で環境配慮型繊維の標準化が進められている。化学繊維分野は化繊協会が2022年度から「環境配慮型繊維製品に関するJIS開発事業」に取り組み、リサイクル原料とバイオマス原料による化学繊維を規定するJIS開発を進めた。今年3月には原案作成が完了し、JIS制定を答申する政府審議会である日本産業標準調査会に提案した。また、標準化の実効性確保や混率表示のため、環境配慮型繊維の鑑別に関するJIS原案も作成・提案した。

 当初はJIS化を進めた上でISO提案など国際標準化を進める計画だったが、ここに来てISO化など国際標準化を先行させることになった。化繊協会の竹内郁夫会長(東洋紡社長)は「現在、欧州を中心に新たな環境規制や標準化が想定以上のスピートで進められている。この動きに遅れないようにしなければならない」と話す。

 世界貿易機関(WTO)の「貿易の技術的障害に関する協定」(TBT協定)によって国内規格は国際規格と整合化することが義務付けられている。欧州連合(EU)は4月に環境規制強化に向けた改正エコデザイン規則案を採択した。これに合わせて欧州からも環境配慮型繊維の標準化提案が進められることが確実。日本がJISを策定しても、その後の国際標準規格の中身によってはJISを改定する必要に迫られる。

 このためJIS化よりもISO化を先行させる必要があると判断した。海外の標準化動向を確認しながら、日本からのISO提案に向けた原案作成に取り組む。ISOは国際会議での投票で成立するため、国際的なロビー活動が不可欠となる。化繊協会がアジア化繊産業連盟の標準化作業委員会の共同事務局を担っていることも生かし、連携によってアジア地域での協調体制を構築し、日本からの提案のISO化に取り組む。