この人に聞く/シキボウ 上席執行役員繊維部門長 尾﨑 友寿 氏/外、外の新ビジネス構築へ

2024年07月05日 (金曜日)

 シキボウの繊維部門長に、6月27日付で尾﨑友寿上席執行役員が就任した。加速する海外戦略やサステイナブル素材の拡販など、これからの方針について聞いた。

――今期(2025年3月期)の重点課題は。

 輸出を拡大していきます。特に中東民族衣装向け生地輸出は円安のフォローの風もあり、堅調に伸ばしています。22年に台湾、今年にベトナムで現地法人を立ち上げました。今までは生産をフォローする拠点でしたが、これからは例えばインドネシアの糸をベトナムに送り、製品化して米国へ輸出するなど、販売面にも力を入れます。

 海外戦略に取り組むグローバル事業推進室ではメンバーを入れ替え、どのようなビジネスを組み立てていけるか活発的に議論しています。海外拠点の横の連携を強めながら、外、外の新たなビジネスを構築していきます。

――先日、廃棄されていた綿素材を再利用した新素材バイオマスプラスチック「コットレジン」を発表しました。

 ポリプロピレン樹脂と混ぜることで物性が向上し、当社にあまりなじみのない自動車部品や電化製品などプラスチックが使われる幅広い用途に提案できます。

 サステ関連では他にも広がりを見せる生分解性ポリエステル「ビオグランデ」で、短繊維だけでなく長繊維の開発も進めています。フェアトレード綿糸「コットン∞(エイト)」は一般衣料だけでなく、ユニフォームにも採用され始めました。採用された企業からはお客さんからの評判が非常に良かったと聞いています。

 工場でも排水処理や省エネ化などでサステに関連する設備投資を強めています。染色加工のシキボウ江南(愛知県江南市)では今夏、スチーマーやベーキング機を更新します。織布では整経機も導入します。旧設備では難しかった新しい加工開発にも取り組んでいければと思っています。

――昨年からブランド戦略プロジェクトを推進しています。

 テニスとスカッシュを合わせたようなスポーツ、パデルの日本代表選手である平レオンオリリアスさんとパートナーシップ契約を結んでいます。特に中東ではパデルの人気が高まっており、シキボウの認知度向上を期待しています。民族衣装向けの生地以外でも中東への輸出を構想していきます。

――今期は黒字浮上が大きな目標となります。

 当社はどちらかと言えば下半期型ですが、4、5月は売り上げ、利益とも計画を上回るペースでクリアできています。円安や原燃料高などで厳しい環境が続きますが、自信を持ってやっていきたいと考えています。