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ひと/シーユーピーの社長に就いた曽山 紀浩 氏/価値ある会社作りへ努力

2024年07月04日 (木曜日)

 「20年ぶりにこの職場に戻ってきた」。そう話すのは菅公学生服グループのユニフォームメーカー、シーユーピー(岡山市)の社長へ5月9日付で就いた曽山紀浩氏。同社は、菅公学生服(当時は尾崎商事)が1991年にスタートさせた事業開発本部CUP事業部が前身で、曽山氏は創設メンバーとして携わった経緯がある。「就業構造が変化する中、顧客の事業変化をしっかりと見ながら、ここに見合ったユニフォームを提案できるメーカーになる」と今後の展望について語る。

 85年に尾崎商事へ入社し、学生衣料部の商品開発課へ配属。ここでは小学生服や布帛、スクールソックスといった関連商品の商品開発に携わった。5年経ち、同社が自社の資源を生かした新規事業を始めることになり、ここへ創設メンバーとして選ばれる。これがCUP事業部だ。

 創設メンバーは5、6人。「みんなで長机を並べて、何をやっていくか考えていった。本当にゼロからのスタートだった」と振り返る。その中で決めたコンセプトが「明るく楽しいユニフォーム文化の創造」だ。

 当時は女性の社会進出が進み始めた時代。ユニフォームを見ると「女性がメンズの小さいサイズを着ていたほか、色も濃色系が多かった」。そこで、女性を中心としたソフトワーキングを中心に市場を開拓しようと、ブランド「フェアロード」を立ち上げて販売を開始。徐々に売り上げを伸ばしていった。

 商品開発、営業、デリバリーなどあらゆる業務をこなした。市場で求められているものは何か、どうすれば自分たちの優位性を発揮できるのか。ここに「しこたま時間をかけた」と言い、「顧客にどのような価値を提供していくのかこだわっていく部分はすごく勉強になった」。

 14年ほど在籍した後、菅公学生服で海外調達部や物流部、マーケティング部の部長を歴任するなど、さまざまな仕事を経験。CUP事業部もそうだが、特に新規事業に携わることが多かった。

 子供の成長や嗜好(しこう)などを調査し、新たな価値を創出するカンコー学生工学研究所、制服専門店の「カンコーショップセレクトスクエア」、キャリア教育事業を行うカンコーマナボネクトなどの立ち上げに関わる。自身についても「新しいこと好き」と話す。

 シーユーピーには当時のメンバーが現在も在籍していることに加え、「当初持っていた“シーユーピーならでは”も引き継いでくれている」。社会環境が激変する中、ユニフォームのニーズも変化している。社員と話し合いながら、「価値ある会社づくりへ努力していきたい」と前を向く。(秋)

 そやま・としひろ 1985年尾崎商事(現・菅公学生服)に入社、学生衣料部商品開発課に配属。90年新規事業(現・シーユーピー)創設メンバーとして異動。2004年菅公学生服営業支援本部長を経て07年営業本部長、13年開発本部長、14年取締役、24年常務取締役、シーユーピー社長。61歳。趣味はゴルフ。ゴルフ好きの先輩たちに鍛えられ、今では自然を満喫しながらリフレッシュしている。