特集 オフィス・サービスウエア24秋冬(5)/トップに聞く/KAZENホールディングス/明石スクールユニフォームカンパニー/ツカモトコーポレーション/アルトコーポレーション/サカノ繊維
2024年07月01日 (月曜日)
〈KAZENホールディングス 経営企画室長 三浦 利幸 氏/サービスウエア好調続く〉
サービスウエアの好調が続いている。2023年12月期に新型コロナウイルス禍前の売り上げを超え、今期は5月末までの段階で前年同期比約15%増の水準で推移している。
特にスーパーマーケットやドラッグストアからの引き合いが多い。カタログ定番品の買い増しに加えて、新規案件や大手別注案件なども増えてきている。
ただこの先の円安の動向は懸念材料だ。仕入れ価格の高騰に伴う値上げは、昨春に続き、今春も一部で実施したが、状況次第ではさらなる改定が必要になってくる可能性もある。人件費や輸送コストも上がっているため慎重に検討していきたい。
SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた貢献や環境対策を進める社内プロジェクト「KAZENレインボープロジェクト」を立ち上げた。年内には資源循環システム構築に向けた回収スキームを実現し、来シーズンのカタログに掲載する予定だ。
〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部 プランニング部長 伊藤 良太 氏/シルキートリコットに新色〉
アクティブチャレンジ部の今期上半期(2024年1~6月)売り上げは、「ルコックスポルティフ」を擁するメディカル向けが計画通り伸長し、2桁%増に届きそうだ。介護向けも前年並み確保を見込んでいる。
メディカル用シューズのUQM7001は引き続き好調で、1案件当たりの顧客単価を押し上げる要因になっている。
女性向けに開発した薄くて透けにくい「シルキートリコット」は、落ち着いた色調で顔が映える色合いの新色を追加する。
しばらく男女兼用の「スクラブ」が好評だったが、その反動で女性らしさを求める要望も増えてきた。受け付け担当者も着用できる点も支持を集めている。
マスターパターンを二つ用意して、幅広い体形をカバーするダブルパターンも引き続き好調を維持している。今期は、当社オリジナルの新ブランドの発表も予定する。
〈ツカモトコーポレーション 執行役員ユニフォーム・SP事業部長 黒木 信吾 氏/資源循環システム構築へ〉
オフィスウエアでは、地方銀行や信用金庫など金融機関における制服廃止の影響が出ている。この流れはしばらく続きそうだ。一方で、スーパーマーケットや外食、ホテルといったサービスウエアの別注需要が上向いていることから、24秋冬にかけてはトータルで増収を見込んでいる。
働き方改革の中で従業員の着替え時間短縮につながるウエア設計を求める声が出始めている。このようなニーズに応えられる製品開発で付加価値を高めていきたい。
ワークウエア分野強化の一環として準備を進めてきた脱着可能なバッテリー一体型電動ファン(EF)付きウエアは、来期からの本格展開になりそう。ユニフォームレンタルも注力事業の一つで、スーパーマーケットや食品業界への提案を強化している。
サステイナブル素材の活用に加え、使用済みユニフォームの回収、アップサイクルなど資源循環システムは早期に構築していきたい。
〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/大型案件受注で大幅増収〉
10年ぶりの大型リニューアル案件によって、上半期の段階で既に例年の年間売り上げに近い金額を受注している。ただ供給が追い付かないため、売り上げは年度内もしくは一部来期まで持ち越す見込みである。
カタログ定番品においては、植物由来ポリエステルの東レ「エコディア」使用製品への引き合いが増えている。
一方、長引く円安で強まっているコストアップ圧力はマイナス要因だ。今秋冬についても昨年価格改定できなかった新商品などを中心に値上げせざるを得ない状況にあり、これで3年連続となる。
一般的に企業のユニフォームの予算は変わらないか場合によってはシビアになるため、購買を控える傾向がますます強くなり、厳しい商戦になるだろう。
循環経済実現のために、使用済みユニフォーム回収やアップサイクルといった取り組みをユーザー企業に積極的に提案していきたい。
〈サカノ繊維 代表 靏我 健一 氏/白い空調服は今季も堅調〉
現在の主力商品の構成は、食品工場白衣、別注各4割、サービスウエア2割。食品工場白衣は2月までは前年比10%増で推移していたが、3月以降は前年並みと伸び悩んでいる。学校納品が早かったことや商社経由の納品遅れなどによるもので、需要の落ち込みではないとみている。
円安の長期化に伴って、今年はほぼ全ての製品で価格改定を行う。それに合わせて9、10月をめどに新製品20点以上を盛り込んだ新カタログの発行を予定している。
価格交渉を進めつつ積極的な拡販戦略を展開して来期の売り上げは前期比10%増を目指していきたい。
サステイナブル素材を採用したウエアが主流となる中、当社も3年ほどかけて製品リニューアルを図っていく。電動ファン付き食品工場白衣「白い空調服」は堅調だ。今シーズンは新たな生地の製品を投入し、ウエアとデバイスのセットで6千点の販売を見込んでいる。
〈大阪・関西万博/応募多数は制服効果も〉
来年4月に開幕予定の大阪・関西万博のボランティアは、募集枠2万人に対して2.8倍もの応募を集めた。その要因としてコシノジュンコ氏監修のユニフォームも一役買っているとみられる。会場用と街中用の2種。それぞれTシャツ、ベスト、ハット、バッグが支給される。