特集 オフィス・サービスウエア24秋冬(2)

2024年07月01日 (月曜日)

アンケート協力企業

 アイトス、明石スクールユニフォームカンパニー、アルトコーポレーション、カーシーカシマ、ガードナー、KAZEN WLD、サーヴォ、サカノ繊維、ジョア、神馬本店、住商モンブラン、セロリー、チクマ、ツカモトコーポレーション、ハネクトーン早川、フォーク、ボンマックス、ヤギコーポレーション(五十音順)

〈長引く円安の影響じわり〉

 長引く円安は徐々に企業の収益力をむしばんでいるようだ。現在の為替水準が続くことによって事業活動にどのような影響が出てくるのかを主要18メーカーに取材したところ、「輸入原材料費の高騰」13社、「製品への価格転嫁の必要性」10社、「エネルギー・輸送費の高騰」9社が上位を占め、多くのメーカーがコストアップに苦しんでいる状況が改めて浮き彫りになった。

 メーカーからは「コスト圧力は強まるばかりで、それを回避する手段が限られているため、必然的に製品価格への転嫁は逃れられない」(アルトコーポレーション)といった声が多く聞かれる。国内生産への手当てについても「海外生産比率が50%未満で救われている部分もあるが、国内生産背景の縮小化によって、ある一定量は素材も縫製も海外に依存せざるを得ず、断続的なコストアップ懸念がある」(チクマ)、「縫製工場のM&Aなどによる国内生産キャパシティの確保」(ハネクトーン早川)といった意見が挙がった。

〈25年明暗さらに顕著に〉

 オフィス・サービスウエアの25年市況予測についての設問に対しては、「オフィスウエア市況の悪化」12社と「サービスウエア市況の好転」9社の2点にほぼ集約される格好となった。

 オフィスウエアは市場シュリンクの流れにあらがえないという見方が根強い。一方で過去数十年、世間でオフィスウエア廃止論が高まった後には、その反動として再度ユニフォーム導入の利点が見直されるという波を幾度となく繰り返してきた。今回も最近になってようやく沈静化してきたとの見方が出てきた。人口減少の影響もあり、今後市場が拡大する可能性は低いにしても一直線に廃止に向かうということはまずないだろう。

 メーカーの対処法もさまざまだ。「オフィスウエアの良さを、働く人や企業に対してもっと積極的にプロモーションを展開してその価値を伝えていくことが大切」(カーシーカシマ)、「ジェンダーレスの影響も出てきており、オフィスウエアは新たな商材への転換期がきている。サービスウエアとの境界線が曖昧になっておりその傾向がさらに進む」(ヤギコーポレーション)との見方が並ぶ。

〈10年後のユニフォームは〉

 一般アパレルと比較すると比較的トレンドに左右されにくいユニフォーム業界ではあるが、過去10年単位で見ると、やはり時代に合わせて着実に変貌を遂げてきていることが分かる。今回は10年後の2034年、オフィス・サービスユニフォーム業界を取り巻く状況がどのように変化していると思うかという質問をした。

 最も多かったのは「サステイナブル素材での作製が主流となる」12社だったが、「オフィスウエアという概念がなくなる」9社、「ジェンダーレスデザインが標準仕様となる」7社、「ウエアラブルデバイスがウエアに組み込まれる」6社などがほぼ並んだ。いずれも既に緒に就いている取り組みが多い点は興味深い。方向性は既に定まっており、さらに深化させていく動きが強まっているようだ。

 メーカー側がさまざまな視点から将来を分析していることがうかがえる一部を紹介する。「多様性が求められる半面、格式や伝統的なスタイルが見直されユニフォームの重要性が高まるのでは」(明石スクールユニフォームカンパニー)、「ジェンダーレスデザインが普及する対極に、男性らしい、女性らしいデザインにスポットが当たりそれらが共存し多様化することも考えられる」(住商モンブラン)、「ユニフォームの資源循環システム構築が必要になってくる」(KAZEN WLD)、「従業員の健康管理サポートの視点から、ウエアラブルデバイスが組み込まれた商品に注目している」(ヤギコーポレーション)。

〈LU協 ベストドレッサーカンパニー賞/シタラ興産の夏制服に金賞〉

 オフィスウエアメーカー10社が加盟するレディースユニフォーム協議会(LU協)はこのほど、「第8回ベストドレッサーカンパニー賞」の受賞企業を決定した。加盟各社の製品を最も奇麗に着こなしているエンドユーザーを表彰するもの。金賞にはシタラ興産(埼玉県深谷市)、銀賞は東邦ゴム工業(石川県白山市)、銅賞にバルコムモータース(広島市)が選ばれた。

 シタラ興産は、女性社員25人の夏用ウエアとして、フォーク(東京都千代田区)のオーバーブラウスと、ストレッチ性のあるテーパードシルエットのパンツを導入。凸凹感のあるツイード調の素材で清涼感をもたらすオーバーブラウスは、スタイリッシュなデザインと着やすさ、アクセントとなる襟元のリボンが社員の間でも高い評価を得た。

 銀賞の東邦ゴム工業は、ボンマックス製、銅賞のバルコムモータースはジョア(岡山市)の制服を採用した。

 同賞は、レディースユニフォームの普及を目的に制定した2月4日の「レディース・ユニフォームの日」に合わせて開催。今回は、オフィス、接客ユニフォームをリニューアルした18のエンドユーザー企業、団体がエントリーし、2月にウェブ上で好みのウエアへの投票を受け付けた。受賞社には賞金として、金賞10万円、銀賞5万円、銅賞3万円が贈られた。