繊維ニュース

帝人フロンティア/ブラックフォーマルの新素材/15年ぶり単独商談会

2024年06月28日 (金曜日)

 帝人フロンティアは、素材開発の強化によってブラックフォーマル市場で存在感を高める。新素材では、深色性や環境配慮が特徴の「ブラックオン」などの開発を終え、提案を始める。これら新開発品や重点素材は、ブラックフォーマル単独では15年ぶりの開催となる素材商談会で顧客に紹介している。

 ブラックフォーマル向けの素材は、1975年に梳毛調ポリエステル「ミルパ」を開発し、以降も深色性が特徴の「シルブラック」、軽さと深色性を兼ね備えた「ネロイ」などを商品化した。素材開発は継続して取り組んできたが、大型素材への成長が期待できる新商品ができたことから、披露の場(商談会)を設けた。

 ブラックオンは、原糸と製織、染色・加工の各技術を融合して開発した。濃染性と深色性のほか、適度なハリ感とコシ、上品な光沢感、膨らみ感、イージーケア性などを兼ね備えている。従来品と比べて加工工程を簡素化するなど地球環境にも配慮しており、次世代型の生地に位置付ける。

 複合繊維と特殊混繊技術を組み合わせた「セレヴィ」も新開発の生地だ。適度なソフト風合いと発色性、まろやかなストレッチ、仕立て映えなどを特徴とする。

 複合繊維と特殊加工糸技術を融合した「SK(仮称)」も新しい生地で、マイルドな質感やイージーケア性などに優れている。

 ブラックフォーマル向けでは、ファッションやユニフォームをはじめとする幅広い分野に浸透している梳毛調ポリエステル生地「トリクシオン」も重点提案する。今日28日まで同社東京支社で開催中の「ブラックフォーマル素材商談会」では、ミルパやシルクウール調の「ラチェット」なども展示している。

 ブラックフォーマル向け生地を販売する東京衣料第二部は、「新型コロナウイルスの第5類への移行で昨年は販売が回復した」と話す。今後も一定の需要はあるとみるが、大幅拡大は考えにくいとし、素材開発の継続強化によって市場・顧客のニーズに応え、販売拡大と収益性向上につなげる。