中国アーバンアウトドアの ブランド編④「GOO」

2024年06月28日 (金曜日)

日系生地専門家が立ち上げ

 「GOO」(ジーオーオー)は、アウトドアウエアの機能性とカジュアルウエアのリラックス感を融合したブランドだ。日系企業の生地の開発と販売に20年近く携わる方健俊氏が、2023年に立ち上げた。

 方氏は、蝶理の中国法人の元社員で、合繊織物の日本品と中国品の中国内販を約10年間担当した。13年に独立してからは、日系生地商社向けの生地開発に従事している。

 22年に自身が開発した生地を使ったトートバッグを作り、フリーマーケットで販売した。「シワ加工の生地使いのバッグで、好評を得た」(方氏)。この時、自身のアパレルブランドを始めたいと思った。

 GOOは、「GENERAL OUTDOOR OUTFITTER」のの頭文字を取ったもので、「普通のアウトドアウエア」のニュアンスを持つ。「機能性と着心地の良さの双方を追求している。派手さはないが、誰でも着られるゆったりとしたデザインで、男女問わず幅広い層をターゲットにしている」と方氏は説明する。

 日本製など高付加価値の機能素材を採用しているが、小売価格をできるだけ抑え、コストパフォーマンスを高めている。コート800~1千元、パンツ400~700元、シャツ500~700元、シャツ300~500元に設定している。

 生地は、自社開発品と、日系生地商社の日本品や中国品を採用。24春夏には、スタイレム瀧定大阪の強撚素材や、蝶理のリサイクルポリエステル糸「エコブルー」使い、サンウェルの吸湿速乾素材などを使っている。

 今年1月、上海の人気ストリート、愚園路で売り場面積40平方㍍の直営店をオープンした。GOOの売り場と、他社ブランドの期間限定コーナーを組み合わせたユニークな店だ。期間限定コーナーの第1弾は、マレーシアのユーチューバー、「小屁孩」(シィアオピーハイ)のメンズブランド「FTMD.」。小屁孩氏の1日店長イベントに長蛇の列ができるなど、盛況だった。期間限定コーナーでは今後、価格帯とテイストがGOOとマッチする国内外ブランドを取り扱っていく考えだ。「日系ブランドに内販のテストマーケティングの場として活用してほしい」と言う。

 現在は同店での小売りと、上海、江蘇省南京、常州のセレクトショップ計5店への卸売りを手掛けている。「取扱店は多くないが、各店の販売は好調でリピート率も高い」と、方氏は手応えを示す。

 ネット通販は「商品を手に触れることができず、良さが伝わりにくいので考えていない」。当面はセレクトショップの卸売り先を増やすことに注力していく。(上海支局)