特集 インテリア総合(4)/環境/トーア紡マテリアル/比楽紡績/伊藤忠商事/NIF

2024年06月26日 (水曜日)

〈トーア紡マテリアル/環境配慮型工場へ進化/汚泥やCO2排出量削減〉

 トーア紡マテリアルは、インテリア産業資材事業の主力工場である四日市工場(三重県四日市市)を、環境配慮型工場へ進化させている。

 同工場にはカーペットのタフティングから連続染色、ドライヤーまで一連の設備もあり、連続染色による多様な色柄表現や機能加工が強みになっている。特許を持つグラデーション染色の採用も特徴に挙がる。

 連続染色は廃水処理などでの環境負荷が課題に挙がるが、同社では2014年から省エネ化に乗り出し、エネルギー使用の合理化や環境負荷低減に対する具体的な方法を検討してきた。

 汚泥処理については16年にベルトプレス型汚泥脱水機を導入し、30%程度汚泥を減らしていたが、22年に特殊活性炭を用いた次世代環境浄化システムを導入し60%の汚泥を削減。16年以前に比べ汚泥をトータルで45~50%削減できるようになった。

 昨年1月には重油たき大型炉筒煙管ボイラーから都市ガスの小型貫流ボイラーへ転換。主要設備までの配管距離も短くすることでエネルギー使用量を16・5%、CO2排出量を38・7%それぞれ削減した。

〈比楽紡績/再生ナイロン66糸供給/ラグなどへ採用広がる〉

 紡毛紡績の比楽紡績(堺市)は、再生ナイロン66糸を備蓄販売する。既にコントラクト用途のラグなどへ採用されており、衣料用を含めて幅広いニーズに対応する。

 再生ナイロン66糸の長繊維と短繊維タイプをそろえる。再生ナイロン66短繊維は、主に中国で出たエアバッグ用端材を国内でチップにして紡糸する。カーペット向けはリング精紡の3番手、5番手糸を用意する。衣料向けはミュール精紡の10番手、16番手糸に対応。衣料、カーペット用途とも、わた染めや糸染め、後染めができる。

 エアバッグ用端材はノンシリコンを使っており、物性が安定して高品質品を供給できる。

 再生ナイロン66長繊維もそろえており、カーペット用再生BCF(かさ高連続長繊維)ナイロン66糸を備蓄販売する。短繊維同様、主に中国で出るエアバッグ用端材を国内でチップにして紡糸。再生ナイロン100%で、紡糸工程の前段階で顔料を添加して糸自体に色を着ける原着糸と、後染め用の白糸を備蓄する。

 原着糸は黒の1120デシテックス56フィラメントで、コントラクト用のダストコントロールマットや自動車用マットの用途へ訴求する。白糸は1120デシテックス56フィラメントと、1170デシテックス80フィラメントの2タイプをそろえてレジデンシャル用途などへの浸透を図る。

 再生ナイロン66糸は、長短合わせて年間数十トン供給可能としている。

〈伊藤忠商事/仏製の環境床材を展開/国際的な資源循環構築へ〉

 伊藤忠商事はグループ企業とともに、欧州最大手の床材製造卸であるフランス・ターケット社の環境配慮型タイルカーペットの日本展開に乗り出した。販売・回収はインテリア製造卸のリリカラ。1月の発売以来、外資系企業のオフィスやモデルルームなどで引き合いがあり、堅調な滑り出しを見せる。

 ターケット社の「デッソ」ブランドのうち、環境配慮型の3シリーズ(フューチュリティ、アイコニック、デザートマスター)を扱う。これらは製品設計段階からリサイクルを前提としており、表面の繊維層と基材のバッキング材を分離し、それぞれ再生できる。繊維層に、イタリア・アクアフィル社のリサイクルナイロン「エコニール」を使っており、ターケット社のリサイクルセンター(オランダ)を活用し、共同でリサイクル。エコニールtoエコニール、バッキング材toバッキング材を実現する。

 伊藤忠商事はアクアフィル社のケミカルリサイクルに着目し、2022年3月に同社へ資本参加。新たな出口戦略としてデッソを加えた。グローバルな資源循環達成のため、リサイクルしやすい安全な原料配合としており、日本国内で回収した使用済みタイルカーペットをオランダのリサイクルセンターへ送り、リサイクルできる。

 リリカラと協力してグローバルな資源循環の仕組みを確立するとともに、アクアフィル社との関係で最新の環境情報を提供するなどして販売をサポートしていく。

〈NIF/「ジャパンテックス」でもリサイクル/使用済床材を再利用〉

 日本インテリア協会(NIF)が主催するインテリア国際見本市「ジャパンテックス」でも、年々環境配慮の取り組みを強めている。

 主催者企画として、2022年には経済産業省による「繊維製品における資源循環システム」のセミナーを開催。昨年はNIF会員各社による「環境への取り組みコーナー」を新設し、パネル展示を主体に分かりやすく訴求した。そして今年は、使用した床材のリサイクルに取り組むとしている。

 花田正孝実行委員長は「今年はさらに一歩踏み込み、ジャパンテックス自体をマテリアルリサイクルの場にしていきたい」と話した。

 同展の床材は従来、ニードルパンチカーペットだが、これをリサイクル可能なカーペットやビニル系床材などに変え、会期後にリサイクルする。新たな床材はNIF会員企業が提供・回収し、自社で製品に再利用する流れ。国内の展示会では初の試みになると言う。

 「第43回ジャパンテックス2024」は、11月20~22日に東京ビッグサイトで開催される。テーマは「暮らしが変わる、インテリアの力~新たな出会いがきっとある~」。昨年は国内外195社が出展し、同時開催展を含め約3万9千人が来場した。リアルのみの通常開催復活から2年目の今回、昨年以上の盛り上がりが期待される。