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東洋紡/異種臓器移植に中空糸膜/医療用ブタ受精卵凍結保存に

2024年06月25日 (火曜日)

 東洋紡はこのほど、異種臓器移植のための医療用ブタ生産・受精卵凍結保存を手掛ける明治大学発スタートアップ企業のポル・メド・テック(川崎市)に対して中空糸膜を提供することで合意した。医療用ブタによる異種臓器移植の実現化に貢献することを目指す。

 ポル・メド・テックは2024年2月に国内で初めて異種臓器移植用に遺伝子改変したクローンブタの生産に成功した。医療用ブタの受精卵を凍結保存することで、患者が必要とするタイミングで移植が可能になる。現在はガラス化凍結法によって受精卵を凍結保存するのが一般的だ。

 東洋紡が提供することを決めた中空糸膜は、ガラス化凍結法で容器の中の受精卵を包むようにして保護する。中空構造を生かし、複数の受精卵を保存するのに優れた操作性を実現する。これまでの実験で従来の保管デバイスと比べて受精卵の胚盤胞形成率や孵(ふ)化胚盤胞形成率が大幅に高まることも確認した。

 同社は今後、異種臓器移植の早期実現に向けた臨床応用を支援する。また、動物受精卵の凍結保存用途での中空糸膜開発のノウハウを生かし、不妊治療などの際に扱われる卵子や精子、受精卵の保管技術への展開も検討する。