不織布の今 ANEX2024から(13)

2024年06月24日 (月曜日)

今後の方向性を示した

 紙おむつ用が中心のポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)メーカー。中国はじめアジアでの需要増に対応し、規模拡大を続けてきたが、昨今、日系企業は苦戦を余儀なくされている。アジア最大手の東レもついに規模の適正化などの構造改革に着手した。

 その方向性の一つを示したのが、アジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2024」(5月22~24日、台北市)だった。同展では韓国子会社のトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)を主体に中国子会社の東麗高新聚化〈南通〉(TPN)、東麗高新聚化〈佛山〉(TPF)の3社で出展した。

 日系企業では最大スペースの単独出展。今回展では紙おむつなど衛生材料向けとポリエステルSBを含めた産業資材向けを半々に展示する構成。衛材偏重型からの脱却を図る方向性を示した形だ。

 産業資材用では三角断面糸によるポリエステルSBを展示会で初披露したほか、ポリエステル複合不織布による制電フィルター、ポリエチレンフィルムを貼り合わせた透湿性ポリプロピレンSBなどを提案した。さらに再生ポリエステル短繊維を使用したニードルパンチ不織布(GRS認証取得)も目を引いた。

 一方、衛材向けは高強力、低目付、ソフト性などの各種ポリプロピレンSBを紹介。中国はじめ海外企業と競合が激しくなる中で、衛材向けはいかに差別化できるかが課題とする。

 今回展ではサステイナビリティーに重点を置いた展示も行った。再生ポリプロピレンSB(GRS認証取得)、ポリプロピレンとバイオポリエチレンの複合SB、バイオナフサからのポリプロピレンSBなど豊富な環境対応SBを展示し関心を集めていた。それが評価され、来場者などの投票による「ESGアワード」を受賞している。

 台湾初開催のANEX2024の来場者数は3日間で、37カ国・地域から1万2187人だった。内訳は台湾が80%強と圧倒的に多かったが、日本が7・0%と2番目、続いて韓国の2・7%だった。中国は2・27%と4番目にとどまるなど台中関係が影を落とした。

 日本不織布協会(ANNA)が組織したANNAパビリオンは比較的にぎわっていたが、国際展ながら日本人来場者が多かったのが特徴的。不織布を取り扱っていない日本の繊維企業も散見されるなど、日本では不織布に対する関心はまだ衰えてはいないのかもしれない。(おわり)