ごえんぼう

2024年06月24日 (月曜日)

 1992年2月、福岡県飯塚市の住宅街で、登校中の小学1年生の女子2人が行方不明になった。後に約20㌔離れた山中で遺体となって発見された。いわゆる飯塚事件である▼被告人には死刑判決が出されたが、刑執行の直前まで無実を訴えた。新たな目撃証言などから冤罪の疑いを拭いきれず、元死刑囚の遺族らは再審を求めていた。しかし、福岡地裁は今月5日、2014年に続き再び請求を却下。弁護側は不服として福岡高裁に即時抗告した▼判決理由の一つに、被害者両名に付着していた繊維が、元死刑囚の自動車シートのものと一致したことがある。素材メーカーが協力した繊維鑑定などの結果は「各目撃供述を補強するもの」として、有力な状況証拠とされた▼ここで冤罪か冤罪でないかを論ずるつもりはない。ただ、凶悪犯罪の解決のきっかけや抑止になることを考えれば、繊維鑑定の精度が高まることには何の異論もない。