繊維ニュース

村田機械 新規事業でCNT糸

2024年06月21日 (金曜日)

 村田機械は新規事業として、カーボンナノチューブ(CNT)紡績糸の拡大に注力する。CNT糸をニット製品に直接編み込み、生地の伸縮から人体情報などを計測するウエアラブルセンサーなどで展開していく。

 CNTは炭素原子でできた円筒状のナノ素材で、導電性や熱伝導性などの特徴を持つ。同社は繊維機械で培った技術を生かし、CNTを紡績糸にした。CNT糸の直径は10~100¥文字(U+3343)㍍で、引張強度は鉄より強い。CNTを糸にしているので屈曲しても折れにくく、編んだり結んだりもできる。超軽量導線、軽量高応答ヒーター、熱伝導材料、ウエアラブルセンサー、人工筋肉、環境発電、ソフトアクチュエーターなどへの展開を狙う。

 島精機製作所との協業でCNT糸を編み込んだニット地を作り、電気抵抗値の変化を計測するニットセンサーを開発した。生地の伸縮時に変化する編み目の状態から電気抵抗値の変化を読み取る形で、人体情報の計測などに生かす。リハビリ・医療分野やアシストスーツ、遠隔操作グローブなどの用途を想定する。

 繊維機械事業部での新規事業として中長期で拡大を図る。現在は企業や研究機関などと組んでの開発が進んでおり、フィールドテストが始まっている案件もあると言う。電極などと組み合わせたモジュールとしての販売や糸売りなど、販売形態は顧客の要望に合わせて対応する。