不織布の今 ANEX2024から(11)
2024年06月20日 (木曜日)
イノベーティブなMB
アジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2024」(5月22~24日、台北市)のテーマは「サステイナビリティー・イノベーティブ」だった。重要性が高まる持続可能性を踏まえたものだが、どちらかと言えば、既存商品を出品する企業が多かった。その中で新たな提案を行ったのが、紡糸ノズル製造の化繊ノズル製作所(大阪市北区)だ。
多くの日本企業が集結したANNAパビリオン(同じ紡糸ノズル製造の日本ノズルはこちらに出展)ではなく、同社は独自のブース設計による単独ブース。東レやJNC(東京都千代田区)は海外グループ企業が出展しているため、実質的に日本企業の単独出展は唯一。海外市場が主力だけに今回展への意気込みを感じさせた。
同社の不織布用ノズルは高品質なメルトブロー不織布(MB)ダイが特徴。高精度な加工公差(最大値と最小値の差)と品質管理への評価は高く、主要不織布メーカ―に販売実績を持つ。
今回展では混繊MBノズルダイを新たに提案した。同一原料でも異なる繊度や粘度、さらに異種原料使いなどを製造できるもの。通常、MBは強度が低いが、単体で強度を高めたタイプを製造できる特徴もある。
自社に置く試験設備(600㍉幅=垂直方向吐出ダイ、250㍉幅=水平方向吐出ダイ)で生産した約10種類の不織布サンプルを展示した。ポリプロピレンとポリエステル、さらにポリウレタンとの複合MBなどを紹介。その他、ポリプロピレン・ポリエチレンの複合スパンボンド不織布もあった。
混繊MBノズルダイは海外の研究機関などに実績はあるが「販売先はまだ限られている。今回展を通じて広く訴求し広げていきたい」と言う。
同じMBで、タピルス(東京都港区)もイノベーティブな不織布を打ち出していた。同社はANNAパビリオンの出展だ。MB製造の専業で、原料はポリプロピレンを主体に、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)など各種使用。日本に加え、タイにも製造子会社を持つ。
今回展で訴求したのは繊度太く、かさ高性のあるMBだ。通常、MBは細繊度で低目付品が多いが、同社はその逆の製品を開発し訴求した。MBの層に空隙があり、圧損を高め、中・高粘度の液体でも分離しやすいなどの特徴がある。「サンプル依頼も多かった」そうだ。