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村田機械 加賀工場の生産能力増強

2024年06月20日 (木曜日)

 村田機械は、繊維機械事業のさらなる成長に向けて体制を整える。自動ワインダーや「ボルテックス」精紡機を生産する加賀工場(石川県加賀市)では、19億円を投じて12棟目を建設する計画で、「これから5年ほどの成長に耐える体制にする」(正井哲司常務繊維機械事業部長)。

加賀工場では現在、自動ワインダーを新機種の「AIcone」(アイコン)に切り替えていくための生産ライン整備を進めている。整備完了後は、新たに第12棟の建設に入り、生産能力を引き上げる。

 加賀工場ではこれまでも工場全体のレイアウト整備に取り組んできた。22年には敷地北側に拡張する形で新工場棟を建設し、北から南に流れる形で整流化を進めた。新たに建設する第12棟は南側に拡張する形で、今年12月に着工し、来年10月末に完成する予定。建屋は2階建てで、建築面積が約5900平方㍍、延床面積が約6600平方㍍。2026年1月から稼働を開始する予定。

 加賀工場では自動化や人材のグローバル化も進めていく考えで、ベトナム人の採用に合わせて、敷地内に新しい寮を建設する。今後はインドネシアからの採用も視野に入れる。

 繊維機械事業の前期(24年3月期)は、新型コロナウイルス禍明けの特需があったその前の期に続いて順調に推移した。世界トップシェアの自動ワインダーはさらにシェアを高めたもようで、昨年イタリア・ミラノで開かれた繊維機械の国際展示会「ITMA2023」で発表したアイコンも好評を得る。来年には次世代機「FLcone」(ファルコン)の販売も始める計画で、アイコンとの併売で拡販を狙う。

 ボルテックスの前期は、昨年10月ごろに落ち込んだ時期はあったが、通期では堅調に推移した。リング精紡機と差別化できる機種として伸ばしてきたが、今後はオープンエンド精紡機が使われている領域も狙いながら拡大を目指す。