LIVING-BIZ vol.107(5)/日羽協/フランスベッド/ボーケン

2024年06月17日 (月曜日)

〈日羽協/リフォーム/リサイクルを促進/環境への取り組み加速〉

 日本羽毛製品協同組合(日羽協)は5月下旬、都内で第46期通常総会を開き、2023年度の事業報告と決算、24年度の事業計画と予算案を承認した。引き続き羽毛原料・製品の品質向上と普及に努めつつ、今年度は特に「リフォームラベル」「リサイクルラベル」の需要促進に力を入れる。

 羽毛を取り巻く環境は依然厳しい。飼料など水鳥飼育のコスト増、飼育日数短縮による羽毛の成長抑制、中国の豚肉安価統制による家禽需要減などから供給は減り、円安による輸入原価上昇も続く。供給不足から中国では粗悪な羽毛が摘発され、日本も警戒が必須。米国など価格重視の市場では、羽毛から合繊へのシフトが進んでいるという。

 こうした状況を踏まえ、河田敏勝理事長は「幾つもの逆風が吹き荒れ、羽毛の品質にとって最悪な状況だ。巣ごもり需要で売れた羽毛ふとんは低価格品主体で利益が薄い上、その反動減も見られる。唯一追い風と言えるのが羽毛ふとんのリフォームやリサイクルダウンといった環境への取り組み。これに力を入れたい」と話した。

 羽毛ふとんの品質を保証する「ゴールドラベル」の23年度発行枚数は、43万9500枚で前年比26・9%減。4種類全て前年を下回った。なお、昨年度は25点の試買テストを行ったが、ゴールドラベル品で違反はなかった。半面、リフォームラベルは5万5千枚で8・0%減にとどめ、リサイクルラベルの発行も始まった(初年度実績4500枚)。

 “良質な羽毛ふとんのリフォームで限りある羽毛を廃棄せず長く使う”“厳格な基準に基づく質の高いリサイクルダウンとして再利用する”といった流れを加速させる。

 同時に「羽毛ふとんを単なる睡眠の道具ではなく、環境や健康など目に見えない価値を提供するモノへとシフトさせる時期に来ている。具体的に何をどう進めるか、今後は組合としてもサポートしていきたい」と語った。

〈フランスベッド/初のソファSR開設/リビング売上高倍増へ〉

 フランスベッドは5月25日、同社初となるソファ単独ショールーム(SR)「フランスベッド 六本木ソファショールーム」(東京都港区)を開設した。韓国のソファメーカーであるジャコモ社の有力ブランド「ジャコモ」を導入、これと連携したSRを増やすことでリビング売上高の倍増を目指す。

 同社は50年ほど前から、欧州や北欧のリビング商品(ソファ、ソファベッド、チェアなど)を輸入販売している。しかし、円安、原材料高、生活者の価値観の多様化などで新商品展開が難しくなりマンネリ化。売り上げ横ばいの状態が続く。ジャコモ社との提携により、そうした状況を打開し増収につなげる。

 池田茂社長はオープニングセレモニーで、「ジャコモの展開は現場社員の発案で実現した。期待している」とした上で、「今後、約10カ所の既存SRを改装してフランスベッドとジャコモのSRを作る。主力のベッドとともに時代に合った暮らしの提案力を高めたい」と話した。

 創業38年のジャコモ社は韓国内に六つの自社工場を構え、職人の手仕事による完全受注生産体制をとっている。イタリア・ミラノに研究機関であるR&Dセンターがあり、機能性とデザイン性の高さにも定評がある。ブランドアンバサダーに韓国トップ俳優を起用するなど、認知度も高い。

 パク・ユシン社長は「海外進出を検討していたところ、フランスベッドからアプローチがあった。初の海外進出となった日本で成功させたい」と語った。フランスベッドは同SRを通じ今後の海外展開への足掛かりもサポートする。

 ジャコモを見いだしたインテリア商品企画課の宮下直昭課長は「韓国ドラマで見掛けたのがきっかけ。欧州製はオーダーからお届けまで約半年かかるが、ジャコモは韓国なので2カ月と短いのも魅力」と言う。3人掛け約35万円から、コーナーソファ約100万円から。

 同SRは2フロア構成で展示スペースは約400平方メートル。ジャコモのほか、ドイツ、イタリア、デンマーク、スウェーデンのリビング商品を扱う。百貨店と連携し外商顧客対応にも力を入れている。

〈ボーケン/頼れる“品質保証パートナー”/持続冷感性、ふとん丸洗い評価も確立〉

 さまざまな商品の品質保証を通じて社会に貢献するボーケン品質評価機構(ボーケン)。寝具寝装品に関しては生活産業資材事業本部が担当しており、国内2拠点(東京、大阪)、海外2拠点(中国・広州、ベトナム・ホーチミン)で、性能評価などの試験業務、品質保証のアドバイス業務に取り組んでいる。

 ベッドやマットレスを中心に、JIS規格に基づく強度や耐久性などの品質試験をはじめ、ウレタンフォームマットレスの硬さ・復元率を求める試験など家庭用品品質表示法(家表法)に対応。体圧分散性試験は介護分野でも注目されている。安心・安全なモノ作りのサポートでは、燃焼性、ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)の評価も。最終製品を用い、実際の居住環境を想定した評価もする。

 日本寝具寝装品協会(JBA)に加盟し、各種認証制度にも対応。快眠を通じた国民生活の向上に寄与し、寝具業界の健全な発展のため技術提供を行っている。家表法の対象外である枕の品質表示では、統一基準作りもサポートした。

 そうした法定表示義務がない、JIS規格などの試験規格がないアイテムの相談が増えてきた。そこで品質保証のパートナーとして、商品企画段階から評価方法を提案するなど、生活者の使用状況も想定した品質支援サービス体制を強める。

 ウイズ・コロナにおけるニーズの変化に対応したサポート体制も強化。昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後、人流・経済活動再開を背景に、それまでの衛生・清潔ニーズに代わり、接触冷感、保温・吸湿発熱、吸水速乾、防汚性などの快適ニーズが急伸した。実使用に近い状態での製品評価試験も増加。温度や湿度をコントロールできる環境施設の活用などで要望に応える。

 昨夏には、提携するユニチカガーメンテックと共同で、持続冷感性の評価試験を開発。近年増加している冷感ジェル敷パッドなど、持続的な冷感機能をうたう製品の客観的評価を可能にした。清潔志向も続く中、各コインランドリー洗濯機の洗濯方法を基に、ふとんの丸洗い評価試験を確立。合繊中わた掛けふとん、羽毛掛けふとん、固わた敷ふとんを対象に、コインランドリー洗濯可能かを評価する。

 今後も品質保証パートナーとして、時代やニーズの変化に合わせた役割を担っていく。