いざベトナム市場 開拓へ~ 「VIATT25」 開催記念インタビュー(3)ベトナム商工省貿易促進局 レ・ホアン・ダイ 副局長

2024年06月14日 (金曜日)

高付加価値シフトに貢献へ

 ――ベトナム商工省貿易促進局(VIETRADE)の概要は。

 2000年に設立された政府機関で、貿易や投資の促進に取り組んでいます。海外企業のベトナム市場の開拓に協力し、貿易を発展させることに力を入れています。

――メッセフランクフルト香港と共同で、2月28日~3月1日にホーチミン市で「ベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門見本市」(VIATT2024)を初めて開きました。

 わが国は、世界をリードする素材と衣類の生産地および輸出センターとして、発展を続けています。24年の素材と衣類を合わせた繊維品輸出額は440億㌦の見通しで、前年に比べ92億㌦増える見込みです。わが国と各国が自由貿易協定を結んでいることを背景に、海外メーカーが近年国内での投資を加速させており、今後も成長が期待できます。

 こうした中、繊維産業の生産および輸出のさらなる発展と、海外企業の投資促進を目的に、世界各国で国際見本市を開くメッセフランクフルトグループと協力し、VIATT24を開催しました。

――ベトナムでは既に多くの繊維関連展示会が開かれていますね。

 はい。幾つかは成功しています。特に機械関係が好評です。しかし、VIATTは既存の展示会と異なります。ファッション、ホームテキスタイル、産業資材の3大領域をカバーし、原料から生地、製品と、それを生産する機械と技術まで取り扱う(これまでになかった)総合展です。

 当機関と、メッセフランクフルトグループがそれぞれの強みを生かし、専門的かつ信頼性のあるサービスを提供することも特徴です。海外出展者はこの点を重視していると思います。

――VIATT24を振り返ると。

 初開催としては満足できる結果でした。出展者の多くが、バイヤーの質を評価しました。出展者とバイヤーの双方から、シナジーを生む総合展の形式を評価する声が聞かれました。

――日系出展者の多くは、地場ブランドに高付加価値の生地を売り込もうとしました。

 ホーチミン、ダナン、ハノイでは、若手ファッションデザイナーが育っています。日本企業にとってはチャンスだと思います。中国・上海で開かれる展示会「インターテキスタイル上海」では、日系出展者が非常に人気と聞いていますが、VIATTでもいずれそうなると信じています。

――VIATTの今後の抱負を。

 来年展に向け、出展者が求めるバイヤーの来場をさらに増やすため、招聘(しょうへい)活動を始めました。若手デザイナーのバイヤーの招聘にも力を入れます。

 将来は、VIATTを東南アジア全体の繊維産業の発展を促すプラットフォームにしていきたいです。

――ベトナムの繊維産業の今後は。

 中期的に高付加価値にシフトしていきます。35年までに繊維品の輸出は、衣類が中心になっているでしょう。

 この転換を進めるため、デジタル技術やサステイナブルな生産方法を導入し、コスト削減と生産性向上にも取り組む必要があります。そのため、日本などの海外企業の技術や製品が必要です。VIATTが、海外企業とわが国産業の橋渡し役を務めることを期待しています。(上海支局)