いざベトナム市場 開拓へ 「VIATT25」 開催記念インタビュー(1)サンウェル国際販売部 川端博士部長
2024年06月12日 (水曜日)
地場ブランド集まる見本市に
日本の生地商社が、ベトナム市場の開拓を本格化させている。メッセフランクフルト香港が2月28日~3月1日、ホーチミン市で開いた「ベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門見本市」(VIATT2024)は、この機運を反映し、初開催にもかかわらず日系企業19社が出展した。同展の第2回が来年2月26~28日、ホーチミン市のサイゴン見本市会場・SECCで開かれることも決定している。本連載では、今年の出展企業と主催者に、ベトナム市場の現状や同展の成果について聞く。第1回は、サンウェル国際販売部の川端博士部長。(上海支局)
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――御社国際販売部は2007年、生地輸出の統括部門として設立されました。海外販売の現状は。
日本本社と上海法人、タイ法人のグループ3社で連携し、販売拡大を図っています。23年の海外売上比率は1割強で、市場別構成比は中国4割、韓国2割、欧州2割、そのほか1割でした。
――ベトナム現地ブランドへの販売規模は。
まだまだ小さいです。顧客はテーラーメードとメンズブランドの複数社で、いずれも量は多くないですが、長く継続的に取引しています。
――ベトナム販売を始めたきっかけは。
ベトナムで日本向け縫製の生地ニーズが拡大していることを商機と捉え、17年からホーチミンとハノイで営業活動を始めました。その中で、現地ブランドへの販売の可能性があることが分かりました。
当時は、海外経験のあるベトナム人デザイナーが立ち上げた高級ブランドのブティックが、街中にでき始めていました。そうした店では、1万5千~2万円で製品が売られていました。こうしたブランドをターゲットにする日本製の見切り品などを扱う生地市場も既にありました。そこで、現地ブランドへの販売に着手しました。
――現在の市場は。
当時と比べ、ブランド数が増えています。高級ゾーンは5万円台もあり、採用される生地も高級化しています。以前は中国品が圧倒的でしたが、2、3年前から品質を求めるブランドが日本や韓国、台湾品を使っています。メンズのテーラーメードはイタリア製ウール生地を採用しています。
――課題や難しさは。
輸入生地を直接買ったことがなく、貿易知識がないブランドがほとんどです。そのため、関税などについて丁寧な説明が必要になります。
――VIATT2024に出展した狙いは。
当社の知名度アップが目的でした。本社、上海、タイのグループ3社で共同出展し、それぞれの機能と商材を訴求しました。
――成果は。
ベトナム語対応のスタッフが作成したベトナム語の看板も功を奏し、当社ブースには多くが来場しました。3日間で計80社がサンプル生地をピックアップし、その後着分依頼が数社からありました。刈り取りを進めているところです。
当社はVIATTを、ベトナム開拓の大きな足掛かりと位置付けています。ベトナム国内での同展の知名度をもっと高め、より多くの地場ブランドが集まる場になることを希望します。将来「インターテキスタイル上海」「ミラノ・ウニカ」と同様、海外販売に不可欠な存在になることを期待しています。