繊維ニュース

紡協/確立へ引き続き注力/リサイクル品のJIS、ISO化

2024年06月07日 (金曜日)

 日本紡績協会(紡協)は5日、大阪市内で定期総会を開催し、会長にシキボウの尻家正博社長、副会長に日清紡ホールディングスの村上雅洋社長を選任した。紡協ではサステイナビリティーへの対応として、綿製品などリサイクル天然繊維の評価方法のJIS(日本産業規格)化・ISO(国際標準化機構)化への取り組みを推進。尻家会長は「今後の市場拡大を考えると避けて通れないだけではなく、繊維業として新たな開拓にもつながる」と話し、引き続き確立に向けて注力する。

 昨年、日本化学繊維協会(化繊協会)のワーキンググループに入り、落ち綿(特紡糸)や反毛、再生セルロースの3分野でリサイクル天然繊維の評価方法の確立に取り組んできた。「顕微鏡による外観観察」「繊維長」「染色性」「油脂分」の四つの鑑別方法による評価方法の確立を試みたが、現状では判別による差が見えておらず、「四つの方法では難しい」(上原千明専務理事)との見方を示す。

 そこで化繊協会が実施している自己認証評価方法などを参考に、日本羊毛産業協会(羊産協)と一緒に天然繊維の標準化委員会を立ち上げ、さらなる検討に乗り出す。政府から補助金が出たことから7月上旬までに第1回標準化委員会を開き、綿と羊毛の分科会を設置して検討を始める。物性評価の鑑別は非常に難しく、別の方法を試すとともに、自己認証や第三者証明の導入も視野に入れる。

 在留資格「特定技能1号」で繊維業が追加され、「国際的な人権基準の順守」「勤怠管理の電子化」「パートナーシップ構築宣言の実施」「特定技能外国人給与の月給制」の四つの追加要件が設定されたことに対し、尻家会長は「ありがたいこと」と述べながらも、中小零細企業が多い繊維業界で「守れる形にしていくには相当な労力、時間が必要」との認識。「周知が課題」と話した。

 紡協加盟企業の運転可能錘数は昨年12月末で16万9千錘となり、23年の平均運転率は63・0%、12月だけ見るとこの10年で最も低い53・3%にまで低下した。ここ数年の原糸販売について、尻家会長は「苦戦しているのが現状」と認めた上で、「落ち込んでしまった生産量の復活は難しいが、独自性、希少性のある糸の生産がこれからの目指すところ」と強調した。