不織布の今 ANEX2024から(2)

2024年06月06日 (木曜日)

ウレタンや羽毛代替も

 日本の不織布関連企業が集結したANNA(日本不織布協会)パビリオンには24社が出展した。

 ANEXはこれまで日本、中国・上海、韓国で開催されたが、ANNAがパビリオンを設けるのは初。台湾初開催に向けてANNAが支援体制を整えて動いたことが良く分かる。台湾サイドもANNAの支援を考慮したのか、アジア不織布協会(ANFA)と台湾区不織布工業同業公會(TNFIA)のテーマパーク前に、ANNAパビリオンを設定した。そのANNAパビリオンには大手合繊・紡績も出展した。

 最も広いブースを構えたのは帝人フロンティア。不織布用の各種ポリエステル短繊維を中心に提案したのは、台湾に不織布メーカーが多いことを考慮したとも言える。

 関心を集めたのはウレタン代替や羽毛代替素材。ウレタン代替としては繊維クッション材「エルク」を紹介した。独自の特殊エラストマーとの複合繊維によるエルクは、通常の熱融着繊維を使用した不織布や硬わたとは異なり、繊維の交差点がアメーバ状に固着する。それにより柔軟な弾力性と優れた耐久性を生み出す。

 1990年前半発売と歴史は長い。これまでは寝具、電車シート、ブラジャーパッドなどに使われてきた。しかし、モノマテリアル化の動きからようやくカーシートのウレタン製ワディング材(カーシートの裏側に貼り合せた薄手のウレタンシート)代替素材として注目を集め始めたと言う。

 羽毛代替では八葉断面の中空タイプを打ち出した。羽毛高騰でチャンスがあるとしてダウンウエアや寝具など向けを狙う。

 素材だけではなく、不織布の提案ももちろん行った。主力の湿式用ショートカットファイバー「テピルス」では1平方㍍当たり5㌘の超低目付の湿式不織布を披露。電材向けという新用途の開拓を狙う。テピルスは逆浸透膜の支持体用湿式不織布向けが主力で需要増に対応し、2025年までの能力増強を決めているというほどポリエステル短繊維事業をけん引する素材でもある。

 その他、垂直型サーマルボンド不織布、ポリ乳酸スパンボンド不織布、独自の長繊維不織布で再生原料による「ユニセルエコ」や油吸着材「オルソーブ」、超吸水繊維「ベルオアシス」などを出品。ANNAパビリオンでは最も多くの製品を展示していた。

 それに続く製品を出品したのは東洋紡エムシーだ。