変化に対応する 商社繊維事業 ~3月期決算から~(4)

2024年06月06日 (木曜日)

衣料分野の業績好況

スポーツ用途が好調 クラレトレーディング

 クラレトレーディングの2023年12月期連結決算は取扱高1506億円(前期比4・7%増)、売上収益615億円(4・7%増)、営業利益51億8500万円(1・4%増)、経常利益53億7200万円(3・1%増)、純利益37億3800万円(2・2%増)だった。化学品・化成品が拡大し、繊維もスポーツ衣料用途などが好調だった。

 繊維関連は取扱高423億円(4・1%減)、売上収益318億(1・5%増)、営業利益22億5400万円(5・1%増)。衣料分野はスポーツ衣料製品が堅調に推移した。スポーツ・アウトドア向け生地販売も国内がともに順調だったことで増収増益となった。ユニフォーム用途はワークウエア向けで不採算分野を縮小したことで採算が改善。白衣・サービスユニフォームは前期並みだった。

 資材分野はメディカル用途の販売が堅調もコストアップで減益。土木・建材用途は需要減退の影響を受けた。人工皮革「クラリーノ」は自動車用途が好調も、シューズや手袋用途は販売が減少した。

 今期は取扱高1600億円、営業利益55億円を見込む。

下半期失速も赤字縮小 ユニチカトレーディング

 ユニチカトレーディングの24年3月期単体決算は売上高265億円(前期比1・1%減)、営業損失6億円(前期は11億円の損失)、経常利益5億円(同11億円の損失)、純損失5億円(同9億円の損失)だった。

 衣料分野は下半期にやや失速したものの、ユニフォームや婦人服用途が総じて堅調に推移した。スポーツや寝装は苦戦した。デニム輸出も低調だった。産業資材分野は自動車、電気・電子用途の回復が遅れ、販売量が減少した。価格改定やコストダウンを進めた効果もあり、赤字幅は縮小した。

 今期は売上高226億円、営業損失8億円、経常損失9億円、純損失6億円を見込む。単体業績としては赤字見通しとなるが、子会社の費用を一部負担することなどが要因。引き続き不採算の縮小や価格改定とコストダウンなどを進め、ユニチカの繊維事業として連結ベースではさらなる赤字圧縮と早期の黒字化を目指す。

レッグ用糸などが伸長 GSIクレオス

 GSIクレオスの24年3月期連結決算は、売上高1461億円(11・6%増)、営業利益28億8100万円(57・5%増)、経常利益29億9900万円(67・8%増)、純利益20億1900万円(14・2%増)。繊維関連分野が伸長し、増収大幅増益を達成した。

 セグメント別では、ファイバーは売上高814億円(17・6%増)、営業利益4億7800万円(34・1%増)。インナー用機能糸・生地の取引が順調に推移し、レッグ用糸の取引も伸長した。

 アウターは、売上高207億円(15・5%増)、営業利益9億3200万円(55・9%増)。欧米向け生地輸出が好調に推移した。インナーは、売上高118億円(2・3%増)、営業利益2億400万円(前期4億4千万円の損失)。個人消費の回復を背景に取引が堅調に推移した。

 今期の業績は、売上高1500億円、営業利益31億円、経常利益31億円、純利益22億円を予想している。