変化に対応する 商社繊維事業 ~3月期決算から~(3)

2024年06月05日 (水曜日)

事業分野で業績にばらつき

アパレルは5.5%減 東レインターナショナル

 東レインターナショナルの2024年3月期決算(単体)は、売上高5814億円(前期比9・4%減)、営業利益123億円(1・8%減)、経常利益264億円(36・5%増)、純利益215億円(48・6%増)だった。受取配当金の増加などで、経常利益と純利益は過去最高を更新した。

 部門別売上高は、衣料素材は6・5%減の753億円。衣料用ファイバーは秋冬物向けが低調で、テキスタイルも米国スポーツアパレル向け輸出を中心に苦戦した。繊維資材・物資は29・9%減の411億円。産業資材が苦戦したほか、綿花事業の収束も影響した。

 アパレルは5・5%減の1524億円。スポーツ・アウトドア、カジュアル向けは堅調だったが、大手SPA向けの受注減などが響いた。

 今期は売上高6604億円、営業利益137億円、経常利益212億円、純利益169億円を予想している。

ファッションが堅調 旭化成アドバンス

 旭化成アドバンスの24年3月期決算(単体)は、売上高634億円(前期比6・3%増)、営業利益17億1千万円(4・0%減)で増収ながら減益だった。繊維事業や樹脂化学品事業で増収増益を確保した。建材事業は減収減益となった。

 繊維事業は、アウトドアをはじめとするファッション衣料用途が国内外で需要が堅調に推移した。為替変動やエネルギー価格上昇による素材コストアップが相次ぐ中、各事業領域で価格転嫁を進めた。

 中期3カ年計画最終年度の24年度は、サステイナブル、メディカル・ヘルスケア、車両関連などの重点領域の強化を重視した施策を進め、次期中計につながる基盤づくりを図る。

 繊維はサステイナブル素材の統合・冠ブランド「エコセンサー」のブランド戦略に継続的して力を入れる。

構造改革成果で黒字転換 東洋紡せんい

 東洋紡せんいの24年3月期単体決算は売上高280億円(前期比2・5%増)、営業利益4億1700万円(前期は4億2200万円の損失)、経常利益6億900万円(同3億5300万円の損失)だった。工場再編など構造改革と地道な価格改定などの成果で黒字転換した。

 スポーツ事業は不採算の縫製品OEMを縮小し、差別化生地の販売が堅調で減収増益。ただ、一部製品の価格改定が遅れており、黒字化には至らなかった。マテリアル事業は調達改革によるコストダウン効果で減収増益。ユニフォーム事業は別注ユニフォームやサービス用備蓄カタログ向けが堅調に推移して増収増益。スクール事業はニット化の流れを捉えて販売が堅調。新規商権獲得もあり増収増益となった。輸出織物事業は市況回復と円安の好影響がある一方で原燃料高騰の影響が大きく増収減益だった。

 今期は売上高330億円、営業利益10億円、経常利益10億円を見込む。