隠れた チャンピオン  台湾・FFS (後)

2024年06月04日 (火曜日)

自社の設備で再生SB

 台湾のポリエステルスパンボンド不織布(SB)メーカー、フロイデンベルグ・ファーイースタン・スパンウェブ(FFS)は3系列・3万1千㌧の規模に加えて、全て5㍍の広幅設備である点に特徴がある。日系のポリエステルSBメーカーで広幅設備は数少ない。一方で、生産目付は1平方㍍当たり20~250㌘と幅広く、汎用性がある。

 また、繊維径が太く、タフトカーペットの基布に向く。元々タフトカーペット基布用に事業化したこともある。特殊製法により縦・横の強度バランスにも優れる。強度バランスが取れているため、成形性も高い。

 1号機、2007年の2号機、20年の3号機それぞれに別の建屋。詳細は明らかにできないが、生産品種の違いも関係する。工場内はオペレーターが少なく、自動化も進んでいる。そのFFSが最も力を入れるのはリサイクルSBだ。

 工場内には再生設備2系列を持つ。これも日本のポリエステルSBメーカーにない特徴だろう。自社工場で出た端材などをチップにしてSB原料に活用するほか、外部からの調達も行う。自社分だけで再生SBは全生産量の20~30%を占める。

 5月22~24日、台湾・台北市で初開催されたアジア不織布産業総合展示会「ANEX2024」では、FFSとして単独出展したが、サステイナビリティーをテーマに100%再生ポリエステルSBなどを提案した。さらにスポーツシューズなど靴の製造工程で発生する端材をチップ化し、SBに再生する「テイク・バックシステム」も紹介した。靴の生産拠点であるインドネシア、ベトナム、インドから端材を調達するもので、既に5年前から始めている。

 FFSはじめ、フロイデンベルグ・パフォーマンス・マテリアルズ(FPM)のコンセプトは「隠れたチャンピオン」。IT機器におけるインテルのような存在を目指している。ポリエステルSBはじめ不織布は、新型コロナウイルス禍におけるマスクで脚光を浴びたものの、基本的に影の存在。それでも各種製品に不可欠であることを、FFS訪問を通じて改めて感じた。(おわり)