変化に対応する 商社繊維事業 ~3月期決算から~(1)

2024年06月03日 (月曜日)

利益面の好調さ鮮明に

 総合・専門商社の2024年3月期繊維事業決算は、全9社のうち増収は5社だったが、営業利益を公表した6社は全て大幅な増益を計上した。メーカー系商社は5社中3社が増収で、営業増益は2社にとどまったが、黒字転換や赤字幅の縮小も見られた(表参照、クラレトレーディングは23年12月期)。

 最大手の伊藤忠商事は増収増益。新型コロナウイルス禍の影響の軽減に伴い、アパレル関連事業の業績が堅調に推移。繊維カンパニーの連結事業会社は全て最終段階で黒字を確保した。

 帝人フロンティアは、売上高はほぼ前年並みだが、営業利益が大きく増加した。北米や中国向けのテキスタイル、衣料品の販売が堅調に推移し、国内向けも衣料品の販売が好調だった。

 MNインターファッションは、今期(25年3月期)の業績について増収増益を計画する。

 豊田通商は今期、アパレル部門でリサイクル原材料の活用拡大や、製品ライフサイクルの延長による環境負荷低減などの施策を推進していく。

 蝶理は増収増益。繊維原料や国内向け衣料品の販売が好調に推移した。環境配慮商材といった差別化品の比率の向上に努めたことなどが、大幅な増益につながった。

 GSIクレオスも増収増益。インナー用機能糸・生地の取引や、アパレル用の欧米向け生地の輸出が好調だった。

 ヤギは減収増益で、純利益は約2倍に伸びた。特にアパレル事業は、低採算事業・商圏の見直しや、中高価格帯品へのシフトなどの施策が奏功し、利益面が大きく伸長した。

 田村駒は、主要取引先との取り組みが拡大し、中国やASEANでのモノ作りが順調に推移した衣料部門が業績をけん引した。

 三共生興は増収増益。ファッション関連事業は主力ブランド「レオナール」の店頭販売が好調に推移。繊維関連事業は新規取引先の開拓などの成果を上げた。

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 次回から、主要各社の24年3月期決算の詳細を伝える。