前多工業/製織準備など投資積極化/来年は部分整経機を導入
2024年05月31日 (金曜日)
産元商社の前多(金沢市)の織布子会社である前多工業(石川県能美市)は、近年の設備投資が単価上昇などの成果につながっている。織機は昨年に全台のドビー・カム化と広幅化を完了し、今後は製織準備などでの投資で、糸加工(混繊、撚糸)から製織準備、製織までの体制を整えていく。
前多グループは織布子会社として前多工業、鹿島テックス(石川県七尾市)、ネオテックス(福井市)を持つ。ネオテックスはレピア織機が柱で、ウオータージェット織機(WJL)はスポーツ・アウトドア用途を鹿島テックスに集約しながら、前多工業ではインテリア、カーシート、ユニフォーム、ファッションなどをターゲットに、高付加価値化の設備投資を進めてきた。
前多工業の織機台数はWJL88台、エアジェット織機(AJL)17台で、全て津田駒工業製。近年の設備投資でドビー・カム化と広幅化を進めてきた。
2019年はAJL6台を増設し、21年はWJL11台を平機からドビー・カム機に改造するとともに、WJL15台を廃して最新機13台を導入した。22年はWJL11台のカム機への変更と新機種16台の導入(18台を廃棄)、乾燥機の入れ替え、検反機の増設、ワーパーの増設などを行った。23年はWJL14台を更新するなど5年で6億円以上の設備投資を行っている。
織機での投資が一巡した中、足元は製織準備機などの投資を進めている。今春は自動ドローイング機をストーブリ製の「デルタ」から「サファイア」に入れ替えた。来年は部分整経機を導入する計画で、ユニフォーム用途で増えている導電糸使いの効率化などにつなげる。
これまで重油ボイラーのみだったが、ガスボイラーを2台導入した。重油に比べてCO2排出量を低減するほか、エネルギー価格が変動した際の影響を分散する狙い。
撚糸機は村田機械製の310A型12台(1台=256錘)、310C型6台(同)などを持ち、足元もフル稼働が続く。前期(23年10月期)は稼働が低調だった機種を展開用途に合わせて入れ替え、糸加工から織物までのバランスを整えた。