繊維ニュース

フェムテックへの知識深める/日本衣料管理協会/オンラインで勉強会

2024年05月31日 (金曜日)

 日本衣料管理協会は29日、資格認定事業の一つである「衣料管理士」(TA)を対象にした「TAの集い」でオンライン勉強会を開いた。「フェムテック素材が拓くウェルビーイングな未来へ」をテーマに、シキボウの戦略素材企画推進室長である中条洋子氏が講師を務めた。約50人が参加し、フェムテックに対する知識を深めた。

 経済産業省の試算によると、2025年時点のフェムテックによる経済効果は年間約2兆円と推計しており、繊維産業の出荷額が約3兆円といわれる中で、中条氏は「フェムテックが繊維業界でもキーワードになりつつある」と指摘。SDGs(持続可能な開発目標)では環境配慮に注目しがちだが、フェムテック関連も「サステイナブル素材の一つと考えている」と話した。

 シキボウでは22年にフェムテックプロジェクトチーム「Mechi」(ミチ)を立ち上げ、フェムテック関連の素材や加工を訴求。汗臭成分だけでなく経血に含まれる臭い成分も吸着・中和できる消臭加工「フェミュー」や、経血のような粘性の高い血液汚れにも対応できる防汚加工「ノアード」などを展開している。

 チームでは商品開発のために吸水ショーツを試着。これまで全員使ったことがなかったが、吸水ショーツが「ナプキンなしでも過ごせる目新しいアイテム」として認識したと言う。ただ、吸水ショーツは薬機法の観点から「生理用品」として販売できない課題も挙げた。医薬部外品である使い捨て生理用ナプキンと違い、「経血を吸水する」といった訴求ができないなど商品の企画、販売する際の注意点についても詳しく解説した。

 今後、女性が活躍する社会を目指す上で、啓発活動の重要性を指摘。月経やPMS(月経前症候群)に悩む女性が、周囲への相談や病院へ行くことで解決できるケースもあり「向き合う大切さ」についても触れた。