東レ・ユニフォーム 部門の総力で市場深耕

2024年05月31日 (金曜日)

 東レのユニフォーム地の販売を主力とする機能製品事業部は今期(2025年3月期)、紳士・婦人やスポーツ衣料用途で展開する生地をユニフォーム用途へも活用するなど、所属するテキスタイル事業部門の力を結集しながら市場を深耕する。

原燃料高などコストアップや在庫調整で厳しい環境が続くが、国内外に多くの生産拠点を持ち、多様なオーダーに対応できる強みを生かしながら増収を狙う。

 梅田輝紀機能製品事業部長によると、前期(24年3月期)は、インバウンド需要の拡大でシャツ、エプロンといった接客サービス向けが堅調だったことに加え、別注も新型コロナウイルス禍で停滞していた官公庁向けの案件が戻ってくるなど、前の期比で増収を確保した。利益面では「コストアップが厳しく、値上げが追い付かなかった」として計画には届かなかった。

 素材ではバイオ原料ポリエステル「エコディア」やペットボトル再生繊維「&+」(アンドプラス)といった環境配慮型素材の販売が拡大。気温が高く、夏が長く続く傾向から麻調ポリエステル織・編み物「シャミラン」、独自技術で生地に通気孔を発現させたポリエステル織物「ドットエア」といった高通気素材の採用が増えた。全用途で編み地の採用も進んだ。

 今期はテキスタイル事業部門として「融合を意識」し、部門で横断開発した素材で販路を広げる。スポーツ用途のハイストレッチ素材や、カジュアル用途の天然繊維調素材で、「強度や洗濯耐久性を高めてユニフォーム用途へアレンジして提案する」。取引先の反応も良く、「うまくニーズもつかんでいきたい」。

 逆にワーキングで売れ筋のストレッチ素材「ライトフィックス」をスポーツ、カジュアル用途へ広げるなど、部門内の素材展開によって新たな需要を捉える。

 独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を用いた開発や、インクジェット捺染といった素材提案も拡大。環境配慮ではバイオ原料ナイロン「エコディア ナイロン」を活用した循環リサイクルの仕組みも提案する。

 海外への販路開拓ではアジアを中心に難燃織・編み物「ナフレム」の商談が進む。後染めが可能なラインアップをそろえ、ストレッチ性で「両立しているものがない」ことから評価されつつあり輸出で「成果を出したい」。

 コロナ禍などの影響で生産基盤が揺らぐ中、極端な小ロット、大ロットへの対応が難しくなりつつある。同社は国内を中心にタイ、インドネシア、マレーシア、中国の各拠点を通じた供給が可能で、その「強みを伝えて、さまざまな案件に対応する」ことで市場での存在感を高める。