パンテキスタイルフェア TOKYO2024 レビュー(前)

2024年05月30日 (木曜日)

台湾生地の進化を発信

 台湾の繊維産業連合会、紡拓会が主催する素材の展示会「パンテキスタイルフェアTOKYO2024」が22~23日、東京都渋谷区のEBiS303で開かれた。出展した生地メーカー・商社38社は、展示会テーマの「機能性とサステイナビリティー」をベースに、特徴ある素材をアピールした。

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 生地メーカーの豊泰興業は、台中で本社工場を操業する。廃漁網由来の再生ナイロンなどサステ素材の品ぞろえを拡充している。現在、力を注ぐのが、廃棄繊維由来の再生糸を使った生地の提案だ。

 同社の販売先の約90%を欧米が占めるが、今後は日本市場の開拓を進める。そのため、23年秋に都内で開催された「JFWジャパン・クリエーション」にも出展していた。担当者は「オリジナルグッズを製造する日本企業と手を組みたい」と話す。

 和慶針織廠は編み地のデザイン・企画を手掛けており、布帛ライクの編み地を得意とする。伊藤忠商事のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」など再生素材の取り扱いを拡大している。最近では、カキの貝殻を原料とする糸から作る生地も提案する。「再生糸の混率が20%以上の生地が求められる」

 日本向けは全体の約50%だが、新型コロナウイルス禍以前から減少したという。同展を日本企業とのビジネスを回復させる契機にする考えだ。

 金祥順企業も編み地に特化しており、今回展では経編みの高弾性水着向けをはじめ、両面ジャカードやストレッチジャカード、再生糸使いと豊富な種類の生地をそろえた。

 同社の販売先の約90%は米国で、日本での展示会に出展するのは初めて。日本市場の開拓を目指す理由にビジネスのリスク分散を挙げる。担当者は「日本は距離が近いだけでなく、台湾人にとって親しみのあるブランドが多い。学ぶこともあるはず」と期待する。

 縫製会社の多太は、生地の開発のほか、アパレル製品のOEMも担う。日本市場向けのビジネスを専門にしており、日本企業の品質要求にも精通していると自負する。

 今回展では、カンボジアで築いた織物製衣類の生産背景と共に生地開発力を訴求した。遠赤外線、抗菌、帯電防止などの機能を持つナノ炭素材料「グラフェン」や、レンチングの環境配慮型レーヨン「エコヴェロ」を使った独自の生地を提案した。

 合繊織物メーカーの新光紡織は、メカニカルストレッチの2重織りを紹介した。2重織りタイプにはポリエステルとナイロンの2種類があり、ストレッチや撥水(はっすい)、速乾、UVカットといった機能性を発揮する。

 同社のように、ポリウレタンを使わないストレッチ素材としてアピールするのは、今回展の一つの傾向にもなっていた。