東レ 赤字事業・会社を改善

2024年05月30日 (木曜日)

 東レは赤字事業・会社の収益改善に改めて力を入れる。特に投下資本の大きい特定事業・会社に対しては収益改善プロジェクト「ダーウィンプロジェクト」(Dプロ)を実施している。既に一部で成果が出ており、2024年度(25年3月期)から順次黒字化を見込む。

29日に大阪市内で会見した大矢光雄社長、沓澤徹専務執行役員繊維事業本部長らが明らかにした。

 同社は現在、繊維事業のポリプロピレンスパンボンド(PPSB)とポリエステル短繊維、機能化成品事業の欧米子会社のポリエステルフィルムとABS樹脂、炭素繊維複合材事業の米国子会社であるゾルテックのラージトウを対象に23年7月からDプロを推進した。

 大矢社長は「いずれも大きな資本投下を続けてきたが、環境の変化によって赤字を余儀なくされている」として、短期での収益改善課題と中長期の生産体制再構築など課題を設定・実行することで収益改善を目指す考えを強調した。

 PPSBは23年度までに韓国子会社の設備を一部停止するなどで固定費の削減を進めた。今後は差別化の推進や新規用途開拓を進め、生産規模の適正化と戦略的プライシングの推進によって24年度第4四半期(25年1~3月)からの黒字化を目指す。

 ポリエステル短繊維は日本、韓国、マレーシア、インドネシアの4拠点で生産するが、こちらも一部設備を停止した。今後はポリエステル・綿混織物事業への原綿供給が大きいインドネシア子会社を中心に適正規模を見極めながら、それぞれの地域の状況に合わせた商材へのシフトを進めるなどで24年度の黒字化を目指す。

 ゾルテックの炭素繊維ラージトウは風力発電翼以外の用途開拓に力を入れるほか、風力発電翼の需要回復で24年度第4四半期からメキシコ工場がフル稼働となることを見込み、やはり24年度からの黒字浮上を見込む。

 また、Dプロ対象の特定事業・会社以外の低成長・低収益事業の構想改革にも取り組む。そのために新たに撤退・縮小検討ルールを挿入した。過去2年間の売上高成長率と投下資本利益率(ROIC)を基準に判断する。