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南通帝人/欧米・中国内販ともに伸長/24年3月期も増収増益

2024年05月28日 (火曜日)

 【上海支局】ポリエステル長繊維の製織と、染色加工を主力に手掛ける南通帝人の2024年3月期業績は、2期連続で前期比増収増益となった。欧米向けと中国内販の双方が伸びた。今年度は、内販向けの素材別ブランディングを加速する。

 主力の欧米向けは昨年度、欧州景気低迷の影響を受け、苦戦が予想されたが、健闘した。「特に北米のスポーツ、アウトドアが良かった」と東政宏董事長は話す。欧州顧客はこれまで好調だったアウトドアが芳しくなかったものの、カジュアルは一部顧客向けが伸びた。

 内販は、スポーツとカジュアルの顧客向けをともに拡大した。「特にダウンウエア用途の販売を伸ばした」(東董事長)。日系顧客は、ほぼ前期並みだった。

 欧州と中国の景気後退を受け、今年度の商況感は厳しい。こうした中、内販向けのプロモーション強化に引き続き注力していく。

 昨年度、マーケティング室を設立し、ブランディングをテコ入れした。「日本本社とも連携を始めた。その効果がようやく見え始めたところだ」。今年度は同室が核となり、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」や、リサイクルポリエステル100%を使用した同社独自の「モノフレックス」などの素材別ブランディングを加速する。自社工場の環境対応についてもアピールしていく。

 収益を上げるため、差別化素材の販売を拡大するとともに、工場の稼働率向上による原価低減にも力を入れる。「バランスよく見ていきたい」と言う。