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帝人、福井経編興業など/心・血管修復パッチ/6月12日販売開始へ

2024年05月28日 (火曜日)

 帝人と福井経編興業(福井市)、大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)は27日、3者で共同開発した心・血管修復パッチ(つぎ当て)の販売を6月12日に始めると発表した。主に小児が抱える先天性心疾患の治療に使う繊維製の医療資材。約4倍の大きさにまで伸長するのが特徴で、一度心臓を手術した子供が成長しても患部とのずれが生じず、再手術のリスクを減らせる。

 製品名は「シンフォリウム」。先天性心疾患のある小児の心臓血管外科手術などに用いる。例えば、血管の幅が通常より狭くなった狭窄(きょうさく)部の治療では、一度患部を開いた後にパッチをあてがうことで穴を修復し、血液の循環を支える。

 体に吸収されるポリ乳酸の糸と耐水性に優れるポリエチレンテレフタレートの糸による特殊構造のニットを、架橋ゼラチンでコーティングしている。強度と伸長を兼ね備えているのが強みだ。

 シンフォリウムは大きさが最大4倍になる。子供の成長に合わせパッチも伸長するため、患部とのずれによる再手術の必要性はなくなるとみられる。従来のパッチは再手術が必要で、心疾患患者の身体的負担や家族の経済的負担が大きかった。

 この日、東京都内で記者発表会が行われ、福井経編興業の髙木義秀社長、大阪医科薬科大の根本慎太郎教授、帝人の中野貴之再生医療・埋込医療機器部門長らが出席した。