東洋紡せんい・ユニフォーム 24年3月期10%増収

2024年05月28日 (火曜日)

 東洋紡せんいのユニフォーム事業部の2024年3月期業績は、大型案件のあった別注の拡大や、食品白衣・飲食サービス向けの需要回復を受け前の期比10%の増収だった。

今期(25年3月期)は別注の大型案件がなく、ワーキングを中心に在庫調整の影響を懸念するが、ニットなど差別化素材の拡販、製品OEMでの供給を強めながら前期並みの売上高を確保する。

 前期はワーキング向けが既存のカタログ定番商品向けを中心に減少したものの、別注や食品白衣などが大きく伸び、計画の8%増を上回った。利益面は値上げを進めたものの、原燃料をはじめとしたコストアップに加え、円安で価格転嫁が「追い付かなかった」(山本慎太郎ユニフォーム事業部長)ことから、増益も計画を下回った。

 売上高の10%前後を占めるニット素材の販売が堅調だった。これまでユニフォーム向けではスナッグができやすいなどからニット素材への「抵抗感があった」。しかし、ニットのストレッチ性はそのままに洗濯耐久性といった織物に近い物性、風合いを実現した「コンフォネックス」の販売が別注で増加。高弾性糸と高捲縮(けんしゅく)糸を組み合わせることで高密度とストレッチ性を実現した編み地「スクラムテック」の採用も進んだ。

 サービス向けでは高機能ニットシャツ地「Zシャツ」「Eシャツ」も「着実に増えている」。

 織物もフルダルの高捲縮ポリエステル糸使いの2ウエーストレッチ生地「オールフレックス」の販売を伸ばした。

 ベトナムの縫製子会社、東洋紡ビンズンや協力工場を活用した製品OEMも拡大し、売り上げの半分以上を製品が占めるようになってきた。

 今期は別注の大型案件がないことから売上高では横ばいを維持する。ただ、原燃料や人件費、物流費などコストアップに加え、円安も続いていることから引き続き値上げを要請。利益では横ばいか増益を狙う。

 環境配慮では自社グループ内の縫製工場で発生する端材を協力工場でマテリアルリサイクルする「T2T」をユニフォームでも活用を進める。マテリアルリサイクルでは再生の際の色が残ってしまうが、脱色によって「完全に白にできる」。協力工場では大型設備も導入する予定で、ユニフォームでもT2Tの活用を「具現化していきたい」としている。