東レ 繊維はインドなどで生地拡大

2024年05月28日 (火曜日)

 東レは、一貫型繊維事業や炭素繊維複合材料を高成長・高収益事業に位置付け、拡大に向けた施策を講じる。繊維ではアジアのサプライチェーンを深化・延伸し、ASEAN地域とインドでの高付加価値生地ビジネスを強化し、炭素繊維複合材料事業では生産設備増強を進める。

収益改善プロジェクトも同時進行し、全体で稼ぐ力を高める。

 大矢光雄社長、沓澤徹専務執行役員らが27日に東京都内で会見し、中期経営課題の進展状況について説明した。この中で、一貫型繊維事業や炭素繊維複合材料、水処理などを高い成長や高収益が見込める事業とし、それぞれの特徴に応じた最適な事業戦略を推進する。

 一貫型繊維事業では、サプライチェーンマネジメントによる拡大に力を入れる方針で、ASEAN地域とインドに目を向ける。ベトナムではグループ会社のパシフィック・テキスタイルズ・ホールディングスがニット拠点を立ち上げ、タイではトーレ・テキスタイル・タイランドの織物拠点を整備する。

 インドでは、エアバッグを軸に産業用生地を展開してきたが、現地有力パートナーとのアライアンスで衣料用生地も積極展開する。資産の保有を抑えて財務を軽くするアセットライトな一貫型サプライチェーンを構築し、最適なソリューションの提供を通じて全体で収益を拡大する。

 炭素繊維複合材料は、水素タンクや洋上風力発電翼、アーバン・エア・モビリティー(都市型航空交通)、次世代航空機、宇宙などが2026年以降も需要拡大が見込める用途に上げ、高品質品の提供によってカーボンニュートラル社会実現に貢献する。25年度には米国、韓国、フランスで生産能力を増やす。

 収益改善プロジェクトでは、ポリプロピレンスパンボンド不織布(PPSB)、ポリエステル短繊維などで推進。PPSBは、新規用途開拓や生産規模適正化、戦略的プライシングなどで24年度第4四半期からの黒字を計画する。ポリエステル短繊維も生産規模の最適化などに取り組み、「今年度中の黒字化」(大矢社長)を目指す。