ANEX2024 不織布企業の開発力示す

2024年05月24日 (金曜日)

 【台北=西田貴夫】台湾・台北で開催中のアジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2024」に出展した日系の不織布関連企業は、開発力の高さを示している。各社とも日本ならではの製品を提案し、出展を通じて新規需要家の開拓を狙う。

 メルトブロー不織布(MB)専業のタピルス(東京都港区)は約1デシテックスのMBを紹介した。MBは細繊度タイプが大半だが、あえてスパンボンド不織布(SB)に近い太繊度化したフィルター向けを訴求した。MB層に空隙を持たせることで、気体向けでは圧力損失を高め、液体向けは高粘度でも閉塞しない特徴を持つ。強度も通常のMBより高い。

 紙パルプ関連商社の野村商事(同中央区)は不織布の地合測定器「FMTー4」を提案した。商社ながら同製品は独自開発品。1990年代に発売を始めており、累計75台の販売実績を持つ。出品したのはFMTシリーズの最新型。透過光による画像解析で、わずか7秒ほどで測定が可能。コンパクトな設計も特徴だ。

 クラレは不織布製造子会社のクラレクラフレックス(大阪市北区)ではなく、本体のエラストマー事業部が出展した。

 スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン」「ハイブラー」を紙おむつのウエスト部分などの伸縮フィルムとして提案する。従来は原料売りだが、加工度を高めてフィルムとしての販売を狙う。紙おむつ用はまだまだ少なく、スパンデックスとの競合はあるが、フィルムによるスマートな見た目や接着樹脂が不要な環境配慮型として訴求する。

 日系ではないが、台湾のフロイデンベルグ・ファーイースタン・スパンウェブ(FFS)は、スポーツシューズ用の端材を再生原料化し、ポリエステルSBにする「テイク・バックプログラム」を改めて紹介した。

 スポーツシューズの製造工程で発生する端材を回収し、自社でチップにまで加工し再利用する。

 インドネシア、ベトナム、インドなどのスポーツシューズ製造工場から端材を回収する仕組み。フロイデンベルググループのSB工場では唯一、FFSが行うもので、再生設備は2ライン。日本向けはカーペット1次基布が主力のため、パイル糸やバッキング材との複合されるため紹介していないが、1次基布だけの端材であれば再利用できると言う。