ごえんぼう
2024年05月24日 (金曜日)
何の気掛かりもなく安心して眠ることを〈枕を高くして寝る〉〈高枕で寝る〉と言うが、高い枕には注意が必要だ▼いわゆる「殿様枕症候群」のこと。江戸~明治時代に広く使われた殿様枕のような高い枕の使用が、脳卒中の一因である特発性椎骨動脈解離の発症リスクになっている。首への負担が原因のようだ。国立循環器病研究センターが1月に発表した▼特発性椎骨動脈解離は首の後ろの椎骨動脈が裂ける原因不明の病。12㌢以上と高くなるほど発症率が上がり、硬い枕ほど発症との関連が強くなるという。寝具の製造卸や売り場では、早速、注意喚起の動きが見られる▼「高枕」を含む言葉は他にも。〈食わず貧楽高枕〉は貧しくても気楽に穏やかに過ごす様を表し、〈世間知らずの高枕〉は厳しい現実も知らずに平然と暮らす人を皮肉る。良くも悪くものんびりした状態の例えのようだ。であれば、今は高枕より“低枕”だろう。