ごえんぼう

2024年05月20日 (月曜日)

 修験道の総本山、奈良・吉野の金峯山寺にある秘仏、蔵王権現立像は毎年一定期間公開され、今年も3月から今月6日まで開帳されていた。魔を振り払い人々を救済しようとする怒りの形相に加え、巨大で青い体がとても印象的だ▼同寺は7世紀後半の創建から戦災で何度も焼失したが、豊臣秀吉の寄進で復興し、仏像も作られた。青には当時、金よりも高価だった瑠璃(ラピスラズリ)が使われている▼修験道の開祖、役小角は、聖徳太子や空海に次いで各地に像が残るが、謎多き人物である。葛の衣を着て、松の葉を食べていたとされ、時には神をも呪縛する強い霊力を持った▼修験道は家庭生活を営みながらも、世俗を捨てず仏道にかなう生き方で自らを高めるところに本質があるとされる。ちなみに修験道で着る山伏の装束は袈裟を含む一式で15万円ほどだそう。神様すら上回る力を持つにはどれだけ修行を積めば良いのか……。