先進課題への回答 テクテキスタイル  &テックスプロセス 2024(4)

2024年05月17日 (金曜日)

新素材・商品に注目集まる

 「テクテキスタイル&テックスプロセス2024」(4月23~26日、ドイツ・フランクフルト)では、新素材・商品への関心も高かった。日本企業も展示会を通じての用途開発の姿勢が目立つ。

 クラレは、ダイセルと共同開発中の新タイプの酢酸セルロース繊維を披露した。従来の酢酸セルロース繊維は溶剤を媒介させる乾式紡糸で製造するものが多いが、新タイプは溶融紡糸で製造する。このため溶剤が不要となり、乾式紡糸のように加熱・乾燥工程もないため製造工程でのエネルギー消費量や温室効果ガス排出量を削減できる。

 土中だけでなく海水中での生分解性も確認しており、マイクロプラスチックによる海洋汚染を抑制する繊維素材としても期待できる。また、溶融紡糸のため異形断面などにすることもでき、用途に合わせて糸形状による機能化も可能となる。

 カネカは世界で初めて工業化に成功した100%バイオ由来の生分解性バイオポリマーである3―ヒドロキシブチレート―co―3―ヒドロキシヘキサノエート重合体(PHBH)「グリーンプラネット」を打ち出した。

 土中だけでなく海水中でも生分解性を持つことから、こちらもマイクロプラスチックによる海洋汚染などを防止する環境配慮型プラスチックとして注目される。使い切りプラスチック製品が厳しく規制されている欧州でも食品容器素材として認められている。

 テクテキスタイルでは、樹脂だけでなく繊維原料としての提案に力を入れ、糸やパイル織物のサンプルを見せたほか、不織布にも期待を寄せる。既にメルトブロー不織布と湿式不織布を商品化しており、スパンボンド不織布とニードルパンチ不織布も開発中だ。まずはコーヒーフィルターなどの用途で提案し、欧州で普及する家庭用コンポストでも生分解する特性を打ち出す。

 日本グラスファイバー工業は新タイプのガラス繊維クロスを紹介した。通常品は耐熱温度600℃だが、特殊コーティングにより千℃まで高めることに成功している。電気自動車(EV)のバッテリーカバー用途などを狙う。マフラー用途で実績のあるガラスウール成形品ではガラスウールのロービングによる成形品を披露した。ロービングを原材料に使うことで使用時にガラス粉末が飛散し発生しにくい点などを訴求している。

 新素材・新商品の用途開発は、メーカーサイドからの提案だけでなく、ユーザーからの引き合いが契機となるケースが多い。その意味でもテクテキスタイルのような大規模な国際見本市で幅広い人々に素材・商品を紹介するメリットは大きいと言える。