テキスタイルの新風 「PTJ25春夏」レビュー(1)

2024年05月16日 (木曜日)

打ち出しはそれぞれの角度で

 生地商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)」。このほど東京都内で開催された25春夏展も前年並みの来場者を集めるなど、盛況のうちに幕を閉じた。新規の8社を含めて70社がそれぞれの角度から生地の提案を行ったが、機能、感性、品質、備蓄といったキーワードが浮かび上がった。

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 東レは、ウルトラスエード事業部と婦人・紳士衣料事業部、スポーツ・衣料資材事業部が取り扱う最先端素材を軸に提案した。今回はブースを一新し、壁面に同社が販売している生地(裏地や人工皮革)を用いるなど、訪問者の感性を刺激する場を構築した。

 ウルトラスエード事業部は、インテリア分野などでも採用が進む人工皮革「ウルトラスエード ヌー」を紹介。婦人・紳士衣料事業部は複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使して開発した生地を並べた。UVカット性などを持つ生地「サマーシールド」と大妻女子大学の学生と協業した日傘も見せた。

 第一織物は、強みとする超高密度織物の技術を生かした春夏向けの新作を訴求した。中空糸使いの「ディクロスエアロ」をベースに織組織・柄を研究して生地を開発。糸・撚糸にこだわって独特の落ち感と肌触りを付与した生地もそろえ、「コンストラック」シリーズとして提案した。

 ブースでは、電子商取引サイト「DICROS ONLINE STORE」も紹介した。BtoB限定のサイトで、会員登録すると同社の超高密度織物が1㍍から購入できる。同サイトは、昨年秋に開設し、引き合いも着実に増えている。

 宇仁繊維は、ハリ感や透け感のある素材を提案し、注目を集めた。オーガンジーリップルは、同社の人気商品である完全耐久性シワ加工「ミラクルウェーブ」の“兄弟素材”。透け感とハリ感に表面変化をプラスした「オーガンジージャカード」も人気を博した。

 同社は売れ筋生地を探す「ワッツネクスト―テキスタイル―」の第1回(昨年春展)で1位を獲得した。1位に輝いたストレッチシアーサッカーは実際に売れているとし、同社売れ筋ランキングの上位に入る。PTJではプリントを施した生地も展示した。

 トリコット大手の川田ニッティンググループは、川田ニットとケーシーアイ・ワープニットが共同で出展した。自社ブランドの「tococie」(トコシエ)を訴求したが、テーマを「トコシエ×アダプション(機能環境)」に設定し、さまざまなシーンに応じる機能を打ち出した。

 ブースでは、撥水(はっすい)や超軽量、パッカブルをはじめとする多種多様な機能を、スポーツやアウトドアなど四つのシーンで分けて提案。スポーツでは通気性や遮熱、冷感を、アウトドアではパッカブルで通気性の良い耐候性素材を使用した製品などを紹介した。