シキボウ 今期は繊維黒字化へ

2024年05月16日 (木曜日)

 シキボウは今期(2025年3月期)連結業績で、売上高407億円(前期比5・2%増)、営業利益16億円(12・0%増)、経常利益13億円(1・7%減)、純利益9億円(12・4%増)を計画する。うち繊維部門では海外戦略を加速させ、売上高215億円(8・0%増)、営業利益1億円(前期は2億7700万円の営業損失)と黒字浮上を目指す。

3カ年の中期経営計画の最終年度であり「総仕上げの年になる」(尻家正博社長)として、基本方針、戦略に沿ったアクションプランの実行に努める。

 今期の業績予想は、当初の中計の売上高420億円、営業利益25億円、経常利益22億円、純利益15億円と乖離(かいり)したものとなる。中計策定時に想定していなかった原材料やエネルギー価格の高騰、為替変動などコスト構造が大きく変化。繊維部門では新型コロナウイルス禍により海外展開の遅れも響いた。

 今年1月にベトナムに現地法人を立ち上げるなど、拠点の整備が進み「今年度が行動のタイミング」(尻家社長)として海外市場の開拓に向けた動きを加速。さらに前期に連結子会社の小田陶器(岐阜県瑞浪市)の株式を譲渡するなど、資本効率を重視した事業ポートフォリオの見直しが進んだ。

 昨年12月にはシキボウリネン(和歌山県上富田町)の岩出第一事業所(同岩出市)の新工場建設が完了し稼働しているほか、需要が増える食品用増粘安定剤では来年1月にシキボウ堺(堺市)の新工場の稼働を予定しており、「次の成長に向けた投資も予定通りに進めた」。

 繊維部門では海外の拠点を「売り上げ、利益に結び付けるため、具体的なアクションの年になる」(加藤守取締役)として攻勢を掛ける。サステイナブル素材や差別化、機能加工との組み合わせや、アップサイクルシステム「彩生」で取り組むグループの新内外綿との連携などを強めながら、黒字化を目指す。

繊維は赤字幅縮小

24年3月期

 シキボウの24年3月期連結決算は、売上高386億円(前期比2・1%増)、営業利益14億2800万円(17・3%増)、経常利益13億2200万円(17・5%増)、純利益8億円(49・0%減)だった(短信既報)。

 繊維部門は売上高198億円(0・2%減)、営業損失2億7700万円(前の期は6億900万円の営業損失)だった。中東民族衣装向け生地輸出がけん引するとともに、下半期からユニフォーム地の販売で価格改定が進んだ成果が出たことで赤字幅が縮小した。