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クラボウ/純利益連続過去最高へ/繊維事業は黒字化計画

2024年05月15日 (水曜日)

 クラボウは、今期(2025年3月期)の純利益で2期連続の過去最高となる72億円(前期比6・8%増)を目指す。繊維事業では原綿改質の機能綿糸「ネイテック」など独自商材を加速させるとともに、ユニフォーム地の値上げを進め、営業利益で1億円(前期は2億5700万円の営業損失)の黒字化を計画する。

 今期は売上高1530億円(前期比1・1%増)、営業利益93億円(1・2%増)、経常利益102億円(0・1%増)を計画。設備投資額では、ここ数年で高い水準となる95億円を計画し、うち65億円は化成品事業で半導体製造装置向けやブラジルでの自動車内装材向けになる。半導体製造装置関連だけでなく、将来的には半導体メーカーへの市場開拓も見据え、ニッチな部分を軸に「戦略を持って事業を広げる」(藤田晴哉社長)方針だ。

 繊維事業では売上高520億円(1・7%増)、営業利益1億円を目標にする。ネイテックなど独自商材による「コト売りを加速する」(北畠篤取締役)とともに、4月からユニフォーム地の値上げを進めており、「この成果が表れてくる」(同)。22年に高値だった原綿の償却も終わり、海外関係会社の収益の好転も見据える。

 3カ年の中期経営計画の最終年度となる。目標とする売上高1600億円に対しては、前期に倉敷機械(新潟県長岡市)の売却などがあり、未達になる見通しだが、経常利益、純利益では達成を目指す。藤田社長は「着実に基礎的な体力は付いてきた」ことに加え、商品の高付加価値化で「利益率も高まっている」と話す。利益面の達成によって次期中計で「さらなる飛躍を目指せる」と強調する。

〈各段階で過去最高/24年3月期〉

 クラボウの24年3月期決算は、売上高1513億円(1・4%減)、営業利益91億8600万円(5・9%増)、経常利益101億円(1・7%増)、純利益67億3800万円(22・1%増)だった(短信既報)。機能フィルムの拡販や半導体洗浄装置の大型案件の受注などで化成品、環境メカトロニクスの両事業が計画比でも堅調に伸ばし、経常利益は3期連続、営業利益は1984年度、純利益は88年度以来の過去最高だった。配当金も期末で20円増配し、年間100円となった。

 繊維事業は売上高511億円(9・6%減)、営業損失2億5700万円(前の期は営業利益3億800万円)。製品ではカジュアルを中心に在庫調整局面にあったことに加え、22年の原綿高の影響で収益が悪化した。後半にかけて改善に取り組む計画だったが、暖冬の影響で24秋冬向けが不振。ユニフォームメーカーの在庫調整により受注が減少するなど下半期も苦戦した。