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デサント 中国市場の成長戦略が鍵

2024年05月15日 (水曜日)

 デサントは13日、中国市場の成長戦略を鍵とする2027年3月期までの3カ年の新たな中期経営計画を示した。

期中に300億~400億円の営業キャッシュフローを創出し、ブランディングをはじめ、生産基盤の強化、デジタル技術で企業を変革するDXなどへの投資を重点的に進めていく。

 成長戦略の要に位置付けるのがブランディングだ。日本事業では「デサント」ブランドの消費者に直販するDtoC拡大を集中的に実施していくことで、現状の売上高構成比率48.8%(24年3月期末)を27年3月期までに80.0%まで引き上げる。小関秀一社長は「収益性を向上させるために実現させなくてはならない数字」とし、絶対目標であることを強調。直営店については店舗数を拡大していくこと以上に、1店舗当たりの売り上げ増に重点を置く。

 韓国事業は新型コロナウイルス禍前水準と同等の売上高700億円規模の回復に向けて、好調な「デサント」「アンブロ」ブランドで旗艦店出店などの成長投資を進める一方、「ルコックスポルティフ」「マンシングウェア」ブランドはリブランディングを進める。

 今中計達成には、中国スポーツ用品大手の安踏体育用品(アンタ)との合弁会社で、持分法適用関係会社のデサントチャイナが重要な役割を持つ。展開するデサントブランドのポジションが高いことから消費動向を受けずに力強い成長を見せている。出資比率はアンタが54%、デサント40%、伊藤忠商事6%。アンタとの連携を図りながら3年ぶりに出店攻勢を再開するため、キッズやゴルフといった新業態を含め新たに40店の出店を計画。今期(25年3月期)中に220店舗超体制を構築することで、ブランド売り上げ1千億円超をほぼ射程に捉える。

 デサントチャイナの売上高は持分法適用関係会社のため連結業績には反映されないが、「ルコックスポルティフ」「アリーナ」などの他ブランドを展開する連結子会社の売り上げと合算した場合の中国の今期売上高計画は1400億円。日本の460億円、韓国の700億円を大きく上回る。経常利益についても日本53億円、韓国41億円に対して76億円を見込んでおり、成長ドライバーとして新中計達成の鍵を握る位置付けとなっている。

 この他、新たに東南アジア6、7カ国でゴルフウエアを中心にした展開を計画する。