先進課題への回答 テクテキスタイル&テックスプロセス 2024(1)
2024年05月14日 (火曜日)
テーマにAIなど浮上
世界最大級の国際産業用繊維・不織布見本市「テクテキスタイル2024」と国際縫製機器・技術見本市「テックスプロセス2024」が4月23~26日にドイツ・フランクフルトで開催された。産業用繊維のトレンドをリードしてきた展示会だが、今回も人工知能(AI)の応用や繊維リサイクルなど先進的な課題に対するさまざまな回答とソリューションが提案された。
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2年ごとに開催されるテクテキスタイルは1986年の第1回から数えて今回が20回目の記念開催となった。主催者によると今回展は併催のテックスプロセスと合わせて53カ国・地域から1700社が出展した。来場者は102カ国・地域から3万8千人に達し、22年の前回展から29%増加した。
日本本社や欧州法人を通じてテクテキスタイルには東レ、帝人フロンティア、東洋紡エムシー、クラレ、カネカなど合繊メーカーのほか、島精機製作所などが出展した。テックスプロセスにはブラザー工業、JUKI、ヤマトミシン製造、タジマ工業、バルダンなどが顔をそろえた。
これまでも産業用繊維と縫製機器の新たなトレンドや課題を提起し続けてきたテクテキスタイル&テックスプロセスだが、今回展ではAIと繊維リサイクルが大きなテーマとして浮上している。オープニングセッションではAIと繊維リサイクルが繊維のサプライチェーンにどのようなインパクトを及ぼすのかをテーマにパネルディスカッションが行われた。
基調講演でフレゼニウス応用科学大学AMDアカデミー・モード&デザインのインゴ・ロルワーゲン教授は「AIは既存工程の高速化・効率化に加え、製品の改善による付加価値創出も実現する。例えば長いライフサイクルを持つ循環型の再生繊維ソリューションを生み出すことも可能」と指摘する。
これを受けて繊維リサイクル技術などの研究開発を行っている民間センター、CETIAのディレクターであるクロエ・サルモン・レジャニュール氏は「例えば繊維リサイクルの工程で繊維素材と副資材を自動的に区別・分離するのにAIを活用することが期待できる。繊維リサイクルを大規模に実現するためには革新的な技術が必要。そのために研究機関と産業界の協力が不可欠です」と強調した。
こうした議論を受けてドイツ機械工業連盟(VDMA)の繊維&繊維技術担当バイスプレジデントのオラフ・シュミット氏は「テクテキスタイルとテックスプロセスで潜在的なソリューションがクローズアップされることを楽しみにしている」と述べた。
同じくVDMAの繊維加工・生地&皮革部会マネージングディレクターであるエルガー・シュトラウプ氏は「AIの進歩は繊維業界にとって適切なタイミングで訪れた。新しいテクノロジーは、労働力不足や持続可能性の向上、資源不足などの課題に取り組む機会を提供するだろう」と強調した。