繊維ニュース

帝人 新中計策定 2年で成長軌道へ回帰

2024年05月14日 (火曜日)

 帝人は、「帝人グループ中期経営計画2024―2025」を策定した。2024年度(25年3月期)からの2年間を成長軌道に回帰するための第一歩と位置付け、「収益性改善の完遂による基礎収益力の回復」「事業ポートフォリオ変革」に取り組む。

25年度の計数目標として売上収益1兆1500億円、事業利益500億円などを掲げる(24年度からIFRS適用)。

 同社は、23年2月に複合成形材料とアラミド、ヘルスケアを中心とする「帝人グループ収益性改善に向けた改革」を発表した。収益性改善についてはおおむね達成したとするが、生産の安定化に課題が残った。新中計はそれらを踏まえて策定した計画で、改革の完遂に向けた施策に取り組む。

 改革完遂の対応では、複合成形材料で生産安定化を含むさらなる改善を実施。2024年度中に北米の赤字解消を目指す。アラミドは、確立した安定供給体制によってマーケットシェアの奪回を図る。ヘルスケアは、希少疾患3製品の国内早期投入の準備を進めるなど、計画を確実に実行する。

 事業セグメント別では、マテリアルは収益性改善施策の完遂で基礎収益力を高めながら市場成長と新規用途開発で増販する。アラミド、炭素繊維は新増設設備の早期フル稼働・フル販売を目指す。各分野でサステイナビリティー施策推進による競合との差別化を進める。25年度に事業利益200億円を計画する。

 繊維・製品セグメントは、成長領域への積極展開、環境戦略の推進により基礎収益力を確固たるものにし、25年度は130億円の事業利益を目指す。産業資材分野でモビリティー・インフラ市場での販売を強化し、衣料繊維分野はグローバルアパレル市場での販売に重点を置く。環境戦略「シンクエコ」も推進する。

 他のセグメントの25年度の事業利益は、ヘルスケアで90億円、ITで110億円、新事業他で20億円を見込む。

 成長投資の基本戦略では、成長する市場、帝人の特徴が生かせる、競争優位性がある新しい事業ポートフォリオの構築に向けて、モビリティー・インフラ&インダストリアル・ヘルスケアを中心にサステイナビリティーや技術・顧客基盤獲得に資する投資対象に優先的に資源を配分する。成長投資は1千億円プラスアルファを予定する。

 そのほか25年度には、ROIC(投下資本利益率)4%以上、ROE(自己資本利益率)6%以上、D/Eレシオ0・9などを計画。新中計の次の中計(26~28年)では、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現し、早期にROE10%以上の水準を目指す。