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テックでEC変革/仮想試着や画像生成/ITスタートアップ

2024年05月01日 (水曜日)

 IT系スタートアップが、人工知能(AI)を活用したバーチャル試着や商品画像生成といったテクノロジーで、アパレル電子商取引(EC)サイトを変革しようとしている。EC購入率の向上や業務の効率化につながる点を訴求し、アパレル企業に売り込む。今後はこうしたファッションテックを取り入れたEC運営が、競争力を左右していきそうだ。(相模 活)

 アパレルEC向け販促サービスのサリーワンツーセブン(東京都台東区)は、AIと拡張現実(AR)を使ったスマートフォン用バーチャル試着サービスを提案する。EC上の商品ページにボタンを埋め込む方式で、「専用アプリを介さずAR試着できるのが強み」(小野沢敦取締役CTO)と言う。

 利用する消費者はスマホからECにアクセスし、試着したい商品の「試着ボタン」を押す。画面の指示に従い身長やウエスト、ヒップの数値を入力。起動したスマホのカメラに全身を向けると、その服を着ているようにAR画像が映し出され、着用イメージが分かる。体を動かすと、実際に試着しているかのように、動きに合わせて服も動く。

 試着姿は360度確認でき、写真や動画に収めることも可能。昨年3月に同サービスの展開を始めた。青山商事など大手企業を中心に導入企業が増えていると言う。

 AⅠやアプリ開発のプリズマテック(同豊島区)は、EC向けバーチャル試着システム「ティップスナップ」を提供する。ECでは服の写真をモデルが着た状態で示すことが多い。同システムはこのモデルの顔と消費者の顔を入れ替え、実際に着た時の見え方を確認できるようにした。

 EC上で消費者が試着したい商品のボタンを押し、顔写真をアップロードすれば、モデルの顔が自身の顔に入れ替わる仕組み。リアルに近い試着画像を提供することで購入率が向上し、返品率を下げる効果が期待できる。

 塚元雅麗社長は「子育てが忙しく店舗でゆっくり試着する時間がない女性でも、スマホで手軽にコーディネートを楽しんでもらえるよう開発した」と話す。現在は実証実験中で、参加企業を募っている。

 アパレルECに必要な撮影、採寸、PR文作成(原稿)は頭文字から「ささげ」業務と呼ばれる。ECの拡大でささげ業務の負担が増えるアパレル事業者を支援するのが、画像生成AIを手掛けるジェンワーク(同港区)。生成AIを使い、ECで使用する画像を最短5分で作成するサービス「フォトレル」を開発した。

 まず、プラットフォーム内で生成AIを使い身長やポージング、肌の明るさ、顔の表情などを調整し、人物を模したバーチャルモデルを作る。そのモデルと商品の写真を合成し、着用イメージ画像を生成するという流れだ。

 中谷健太郎社長は「ささげ業務を圧倒的に効率化でき、生身のモデルを撮影するよりコストを大幅に圧縮できる」と利点を強調。同サービスは今月末に提供を始める。