東麗酒伊織染〈南通〉/内販の売り上げ大幅増/23年度は増収増益

2024年04月26日 (金曜日)

 【上海支局】東レの中国法人で、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)の2023年度(23年4月~24年3月)業績は、前期に比べ増収増益となった。売上高は過去最高を更新した。製品の高度化や、ブランディングの強化により、中国内販を大幅に伸ばした。

 内販は、ファッション・カジュアルブランド向けの織物のパンツ地や、スポーツブランド向けのカジュアルな風合いの織物が好調だった。近年注力する春夏向けの編み物も大きく伸ばした。その結果「内販の売り上げは、前年に比べ1・5倍になった。編み物の拡大により、上半期と下半期の平準化も進んだ」と、秦兆瓊総経理は話す。

 製販一体となったブランディングを強化していることも好調を後押しする。日本本社と連携し、共同開発を進める防水透湿素材「ダーミザクス」やストレッチ軽量素材「プライムフレックス」など四つの素材ブランドを「グローバル・メイン・ブランド」と位置付け、展示会などで訴求。こうした素材を中心に「機能性素材など、付加価値商材への引き合いが増えている」(秦総経理)と言う。

 小ロット・短納期を求めるネット通販ブランド向けは、地場の生地コンバーターを通じた販売を拡大。工場のデジタル技術で企業を変革するDXや、見える化を進めることで、自社の小ロット・短納期ニーズへの対応力も強化している。

 欧州ブランドへの販売は、欧州の景気低迷が響き芳しくなかったものの、北米ブランドは一部顧客の在庫調整が一段落したことで回復した。サステイナブル素材への引き合いは、欧州、北米ともに引き続き旺盛だった。サステ素材への切り替えと同時に、素材を高度化する顧客が多く、単価は上昇傾向にある。

 エアバッグ用途は、グローバルメーカー向けが伸び悩んだものの、電気自動車(EV)メーカーを中心とした地場顧客向けが拡大した。